筑波大学附属視覚特別支援学校のWEB

 このページでは筑波大学附属視覚特別支援学校長より、このWebをご覧になった方へご挨拶申し上げます。


4月の校長室から


 本校ホームページをご覧いただき、ありがとうございます。
 筑波大学附属視覚特別支援学校長として2年目を迎えました青木隆一と申します。
 本校は、我が国唯一の国立大学法人附属の視覚障害特別支援学校です。本年度が創立148年目となります。どこを起源にしているかというと、皇室から御下賜金をたまわった明治9(1876)年12月22日、この日を創立記念日としています。したがって令和8(2026)年度には、創立150年を迎えることとなります。改めて、本校の伝統と歴史の重さを感じるわけです。
 さて、「一年の計は元旦にあり」という言葉があります。学校においては「一年の計は4月1日にあり」となるでしょうか。さらに本校校長として「本校将来の計は本年度にあり」といったら大げさでしょうか。
 ご承知のようにインクルーシブ教育システムが進展し、小中高等学校で学ぶ視覚障害児童生徒が増え、あはき以外の職業分野でも視覚障害者が当たり前のように活躍しています。すでに視覚障害=盲学校=理療という方程式は崩れています。国が目指す障害者等が積極的に参加・貢献する共生社会の実現への過程においては、望ましいことであると言えます。一方で、全国的に視覚障害特別支援学校の在籍者数は減少しており、単独組織としての存続が厳しくなってきています。学校はそこで学ぶ子どもがいて存在するわけですから。単独での存続が難しい公立視覚障害特別支援学校の中には、設置者である教育委員会の方針のもと、聴覚をはじめとする他の障害種校との併置・併設に舵を切った学校が増えてきました。そのような状況であっても、各都道府県で視覚障害教育を行う特別支援学校がなくなることはありません。それは学校教育法第80条に「都道府県は、その区域内にある学齢児童及び学齢生徒のうち、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者で、その障害が第75条の政令で定める程度のものを就学させるに必要な特別支援学校を設置しなければならない。」と定められており、設置義務があるからなのです。
 では本校はどうなのか?
 現在100名を大きく超える幼児児童生徒が在籍していますが、減少の一途をたどっています。20年前は197名でしたが、今年度は155名でスタートとなりました。この減少傾向は今後も続くでしょう。懸念するのは、都道府県立とは異なり、設置者である国立大学法人には学校設置義務は課せられていないということです。本校の将来を見据えると、筑波大学に本校設置の意義と必要性を深く理解してもえるように努めなければなりません。全てにおいて全国視覚障害教育の先導校、モデル校、センター校であり続けなければならない。それには法令や学習指導要領を踏まえ、視覚障害幼児児童生徒の可能性を引き出せる教育課程の編成、高いレベルでの専門性の維持とその対外的な発揮、教員の働き方改革も必要です。端的に言えば、伝統や歴史に胡坐をかかない「強い組織」であり続けなければなりません。
 全職員で同じ意識を共有し取り組んでまいります。引き続き、温かい御支援と御協力を賜りますようお願いいたします。


令和6年4月1日
筑波大学附属視覚特別支援学校
校長 青木 隆一

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