筑波大学附属視覚特別支援学校のWEB

最近の出来事


「臨床研究発表会」

令和6年11月7日(木)

 今年も鍼灸手技療法科3年生による臨床研究発表会が行われました。
 発表会に至るまで、4月にはオリエンテーションで臨床研究の意義や研究の進め方について学び、過去の臨床研究発表会の資料や文献を検索しました。5月には研究内容の決定、6月にはデザイン発表を行い、3年生は臨床研究以外にも研修旅行、定期試験、模擬試験と続く中、研究を進めてきました。
 今回の発表会に向けてそれぞれの担当教員とともに、各自が関心を持っている治療法について研究を行い、治療効果の検討をしました。いずれもとても興味深い発表でした。
 参加をしていた2年生や教員からも多くの質問が出され、活発な発表会となりました。さらに校長・副校長にもご参加いただき、今回の発表会への労いの言葉とともに、来年2月に実施される国家試験受験に向けてのエールもいただき、これから受験勉強追い込みとなる3年生にとって、モチベーションが高まる充実した会となりました。

 以下、今年度の研究テーマです。
・あん摩とオイルマッサージ、温熱療法の比較~頭痛患者を対象に~
・冷えを伴う慢性肩こりに対する伝統的手技による標治法と標本同治法でのアプローチの治療効果の比較~杉山真伝流手術を用いて~
・ヒーリングミュージックの有無が鍼とあん摩治療後の身体に及ぼす影響
・慢性的下痢症状に対する東洋医学的治療の一症例
・筋緊張に対する鍼通電療法での周波数の違いによる治療効果の比較
・結帯動作に影響を与える筋への介入の効果について~ストレッチ、あん摩~


写真① 写真①は、3年生の発表を2年生が熱心に聴いている様子です。
写真② 写真②は、3年生の発表者が教員からの質問を受けている様子です。


「特別講義 経絡治療」

令和6年9月26日(木)

 鍼灸手技療法科3年の特別講義として、神奈川県鎌倉市にあります「大船東洋鍼療院」より、院長の吉田清隆先生、佐野麻里子先生をお招きし、脈診を用いた経絡治療についての講義をしていただきました。

 本講義では「鍉鍼(ていしん)」という体内に刺さない鍼を使用し、生徒全員が施術の流れを一から体験できるようご指導いただきました。最初はペアを組み、お互いの脈を触察し、皮膚のすぐ下で触れられる脈なのか、少し強めに押さないと触れられない脈なのかなど脈の性質について学習しました。病態を把握できたところで、鍉鍼を用いての実際の施術に入りました。生徒は、施術前後で皮膚温やこり感について比較をし、施術後の身体の変化を実感することができたようです。生徒からは「脈診の実際と経絡治療のイメージを体験することができた。」、「痛みのない治療を体験することができ、今後はこういった治療法を学んでみたいと思った。」といった感想を聞くことができました。授業の中では学ぶことができない内容であったため、鍼に関する知見を広めることができた、大変貴重な講義となりました。
 吉田先生、佐野先生、ご多忙の中、本当にありがとうございました。


写真① 写真①は、吉田先生が台になっている生徒の皮膚の状態を観察し、説明している様子です。
写真② 写真②は、吉田先生が頸部に鍉鍼治療を行い、生徒が脈の変化を観察している様子です。


「第2回オープンキャンパス(オンライン)」

令和6年8月31日(土)

 予定されていた第2回専攻科オープンキャンパスは、台風上陸による全国的な天候不良により、参加者の安全確保を優先し、残念ながら対面型は中止、オンライン型のオープンキャンパスのみの開催とさせていただきました。

 当日は鍼灸手技療法科、理学療法科、寄宿舎の各科の説明の後、実際に入学後に授業で使用する解剖模型や、体に鍼を刺す実技などを教員が紹介・実演しました。
 全国から多くの入学希望者に参加していただき、ご参加の皆様からたくさんのご質問を頂き、大変充実した時間となりました。
 来年、皆様と一緒に学べることを楽しみにしています。

写真① 写真①は、フェルトで作った教員手作りの筋肉模型の教材を説明している様子です。
写真② 写真②は、教員が患者役の教員の腰に鍼を打っている様子です。


「あん摩マッサージ指圧コンテスト・甲子園に生徒2名が出場」

令和6年8月25日(日)

大宮呉竹医療専門学校(埼玉県さいたま市)を会場に第1回あん摩マッサージ指圧甲子園が開催されました。
 これは一般社団法人一枝のゆめ財団と、社会福祉法人日本視覚障害者団体連合が共同開催する、第3回あん摩マッサージ指圧コンテスト(有資格者参加)内で初めて学生部門として開催されたものです。
 本校からは鍼灸手技療法科2年の柴崎美優樹さん、3年の前田希さんがエントリーし、全国から集まった24名の参加者と日頃の練習の成果を発揮し合いました。

 学生部門は午前で終わり、夕方の閉会式・表彰式までの間は参加した学生同士でのあん摩交流会となりました。お互いの身体を施術したり、技術の交流や手技を教え合うなど貴重な機会となりました。
 その様子はとても和やかで、この手技療法を学ぶ人達が、専門学校、盲学校、大学で頑張っている限り、これからも世の中に素晴らしいあん摩マッサージ指圧師が生まれ続け、業界の発展と社会貢献につながることだろうと嬉しくなりました。
 大会関係者の方々のお陰でとてもよい経験を得ることができました。深く感謝申し上げます。


写真 写真①は、交流会でベッドにうつ伏せになっている他校の学生さんをあん摩している様子です。



 大会に出場した本校の生徒からも以下のような感想をもらいました。

〇柴崎美優樹さん
 「学校での実習とは違う環境で自分の力を発揮できるか心配していましたが、落ち着いて取り組むことができました。また、他の学生さんとの実技交流も行い、新しい手技を知る良い機会となりました。課題を一つ一つ克服し、今後も練習を重ねていきます。」

〇前田希さん
 「入賞には至らなかったものの、高い評価をいただくことができ本当に嬉しく思っています。高い評価をいただけたのも先生方にあんまを受けていただき、たくさんのアドバイスがあったからだととても感謝しています。
 コンテストだけでなく、実技交流ができたこともあんまコンテストに出場できてよかったことだと思います。専門学生の方々と実技交流をする中で手技の新しい発見がありとても勉強になりました。あんまコンテストに参加したことで自分に少し自信が持てるようになりました。また、もっと練習して上手くなりたいと改めて思いました。」


写真 写真②は、交流会で他校の学生さんの坐位あん摩を受けている様子です。


 学生部門では、最優秀賞に四国医療専門学校(香川県)の学生さん、優秀賞には東海医療学園専門学校(静岡県)と国立大学法人筑波技術大学(東京都)の学生さんが受賞されました。
 本校は惜しくも入賞を逃しましたが、コンテストの目的は勝敗だけではありません。
 今後も手技療法が、社会でひとびとの心身の健康へ貢献できるよう、私たちは業界全体で頑張っていきたいと思います。

写真 写真③は、あん摩マッサージ指圧甲子園の主催者と参加者の集合写真です。


「インド共和国全国盲人協会グジャラート支部と国際交流協定締結」

令和6年8月12日(月)

 この度本校は、インド共和国全国盲人協会グジャラート支部との間で、筑波大学教育局認可のもと、国際交流協定を締結しました。
 2009年から2校間で開始した、職業教育に関する情報交換を主体とした交流に続き、2013年2月~2016年1月に筑波大学附属視覚特別支援学校高等部専攻科鍼灸手技療法科によるJICA草の根支援事業「インド共和国における視覚障害者の職業教育支援」が行われ、視覚障害者を対象とした日本式医療的手技療法教育 (Japanese Medical Manual Therapy:以下JMMT)をインドの視覚障害者教育に委嘱する事業を開始しました。モデル校においては現在に至るまで上記教育がインド人教員により自律的に行われ、毎年10名前後の卒業生を輩出しています。
 筑波大学附属学校教育局はJMMT課程の卒業生に対して継続的に教育長署名の修了証明書を発行しており、両校の間にはJMMTの今後の発展、および将来的な鍼灸教育の導入に向けて更なる協力体制をとっていく旨、合意がなされています。
 これまではJICA事業時に双方署名した、MOU(Memorandum of Understanding,基本合意書)という形で協力関係の継続を確認してきましたが、今後も継続にこの事業を進めていくため、国際交流協定を締結することとし、今回締結の運びとなりました。
 本校から、青木隆一校長、国際教育係長 寺﨑直教諭、鍼灸手技療法科主任 前田智洋教諭が、8月にインド盲人協会グジャラート支部職業部門を訪問し、国際交流協定書の締結、2023年度卒業生への修了証授与、現地生徒・教員に対する技術確認、自律神経反射機転を用いた手技療法に関する講義と実技指導を行いました。

 技術確認においては、リスク管理を行いながら的確に施術できる能力を身に付けている様子がみられました。今回、筑波大学理療科教員養成施設の協力を得て、3Dプリンタで作成した眼球や脊柱、腸管の解剖模型や、本校岸本有紀教諭作成の頭頸部感覚神経支配領域上・表情筋上の経穴触察模型と眼球の層構造模型を贈呈しました。現地では、細かな様子を表現した模型に対して驚きと、このような模型でさらに理解を深められると、感謝のお言葉をいただきました。
 今後も本校は、インドにおける視覚障害者職業教育の充実に向けて、JMMT教育の発展のための現地教員養成制度の確立や、更に鍼灸教育の導入も視野に入れて、現地と協力しながら取り組んでいきます。

写真① 写真①は、協定書締結後のインド盲人協会グジャラート支部施設長のランディナワール氏と青木校長の記念写真です。
写真② 写真②は、前田教諭がインドの学生に実技指導を行っている様子です。
写真② 写真③は、寺﨑教諭がインドの学生に講義を行っている様子です。


「ふれあいマッサージ」

令和6年7月11日(木)12日(金)

 さる2024年7月11日と12日の2日間、鍼灸手技療法科3年生が校外実習「ふれあいマッサージ」に行ってきました。
 これは区民ひろば南池袋の施設利用者様に対して、視覚障害者による理療施術を体験していただくという活動です。事前に利用の希望を出してくださった方々をお迎えして、生徒6名が2日間でのべ36名の利用者様にあん摩の技を披露しました。
 毎年この行事を楽しみに来てくださる方、今回初めてという方、皆様から「気持ちいい」と喜んでくださる声をいただきながら、3年生はこれで修めるべき全ての校外実習を終える事ができました。
 いつも募集にご協力くださる区民広場の職員の方々、暑い中お越しくださった利用者の皆様、本当にありがとうございました。


写真 写真は3年生の生徒が利用者の皆様へ、あん摩を行っている写真です。


「2年解剖学実習」

令和6年7月3日(水)~5日(金)

 2024年7月3日~5日の2泊3日で、鍼灸手技療法科2年生が筑波大学医学群解剖学教室で解剖学実習を行いました。

 生徒は3班にわかれて、教員の指導のもと、1年生の解剖学で学習した骨や筋、神経、血管、内臓、関節などを直接触察し、人体の構造についての知識を深めることができました。
 また、2日目の午後には筑波大学医学医療系の吉原雅大先生より中枢神経系の講義を受けました。吉原先生の生き物の進化の観点をベースとした中枢神経系の講義は大変興味深く、「とても分かりやすい講義であった」、「講義の内容がどれも興味深く神経系についてもっとお話を伺いたい」、「脊髄や脳を触察することで構造の違いを理解することができた」という感想が生徒から聞かれました。

 2年生は初めて宿泊を伴う実習でしたが、宿舎では一緒に食事をし、夜は実習で学んだことを復習するなどして有意義な時間を過ごしました。


「自治会 あん摩練習会のご紹介」

令和6年6月21日(金)

 本校鍼灸手技療法科には、在籍生徒で構成する「自治会」という組織があります。学年を超えた交流を目的に、あん摩練習会や新入生を迎える会などの行事を生徒自らが企画し、活動しています。
 先日、第1回目のあん摩練習会が開催され、放課後に全学年で練習に励みました。新入生にとっては初めて他学年の生徒とじっくり交流できる機会であり、和気あいあいとした雰囲気の中、親睦を深めている様子が見られました。
 
 あん摩練習会の主旨の一つには、新入生が今後どのような施術を目指して学習に取り組むかをイメージしてもらう、ということがあります。
 今回は、新入生が複数の先輩の施術を体験し、技術とともに目標や学ぶ意欲を共有することで良い刺激をもらい、大変貴重な時間となったと思います。
 今後は新入生もあん摩の基礎を習得し、先輩に対して施術を行う機会もあります。習得した技術を披露し、先輩たちからアドバイスをもらうなど、お互いに高め合えるあん摩練習会になることを期待しています。


写真 写真は畳のあんま実技室で15名の生徒がペアを組んで7組となり、輪になってあん摩の練習をしている写真です。


「3年生仙台研修旅行」

令和6年5月24日(金)~26日(日)

 鍼灸手技療法科3年生6名が2泊3日の研修旅行に行ってきました。
 初日は松島海岸で遊覧船に乗ったり、仙台グルメのカキ、ずんだシェイクをはじめとするずんだスイーツ、いろいろな味の笹かまぼこなどを食べ歩きしたり、早くもお土産探しをしたりと、生徒達は普段の忙しい日々から解放されてリラックスした様子でした。
 今回の大きな目的は後半2日間、仙台で開催される全日本鍼灸学会・宮城大会への参加です。生徒達は事前に各々興味を持ったプログラムを調べ、臨床家、教育者、研究者と様々な形で鍼灸に携わっておられる先生方、そして学生の方達の発表や実技から多くのことを学んだようです。引率した教員も、生徒と一緒に実技セッションを見たり、会場を回る傍ら、展示ブースの業者の方から鍼灸器具の情報を得たり、コロナ後、久しぶりに他校の先生方に会うことが出来たりと、収穫がたくさんありました。  また、勉強で疲れたときは、会場のすぐそばにある青葉山公園や仙台城跡を散策して美しい自然に癒され、ハードながらも充実した時間でした。3日間で5万歩歩いたのには驚きました。
 生徒達は残りの学校生活で、治療室実習で臨床の力を磨き、個人でテーマを決めて研究をし、そして国家試験に向けて勉強にも一段と熱が入っていきます。初めての学会参加で、多くの人達が患者さんのために頑張っていることを実感し、鍼灸に対する情熱を感じたのではないでしょうか。
 大いに刺激を受けて、自分の目標に向けてがんばってほしいと思います。


写真 写真は、全日本鍼灸学会・宮城大会の会場周辺にある青葉山公園仙臺緑彩館前にある伊達政宗公胸像前で生徒と引率教員で撮った集合写真です。


「2年校外特別研修」

令和6年5月21日(火)

 鍼灸手技療法科2年生が校外特別研修で、横浜市にある佐藤鍼灸院へ見学に行ってきました。佐藤鍼灸院は日本で最初に美顔鍼を始められた老舗の鍼灸院で、今回の見学では実際に美顔鍼の施術の様子や、一般治療の様子を直接見学させていただきました。見学では、ただ見るだけでなく刺鍼している鍼を実際に触らせていただき、どのように刺鍼しているのか、鍼の太さや長さ、刺鍼の深さや方向まで丁寧に説明して下さいました。
 治療見学の後は、50年近く鍼灸師として施術をされている佐藤高一郎院長のお話を伺い、見学の最後には院長先生の能を披露して頂きました。
 見学後、生徒からは「私も美顔鍼の施術ができるようになりたい」「院長先生の能と、古来から伝承されてきた東洋医学や日本の良い文化を大切に継承していかなければならないという言葉がとても印象に残っている」「個人で経営されている治療院を見学させていただいたのは初めてで、とても勉強になった。卒業後の進路を考えるためにもっと多くの治療院を見学したいと思った」といった感想が聞かれ、とても有意義な研修となりました。


写真① 写真①は、佐藤院長のお話を聞いている生徒の様子です。
写真② 写真②は、実際に美容鍼を受けている患者さんの様子を間近で見学している生徒の様子です。


「1年校外特別研修」

令和6年5月21日(火)

 鍼灸手技療法科1年生が、校外特別研修で大泉学園しばけん三療院を見学しました。
 院長の柴田健一先生は本校の元教員で、退官されるまで生徒へ熱心に臨床実習をご指導されてきた先生です。しばけん三療院で受付などをされている奥様とともに、約1時間ほど治療院について丁寧にご説明頂きました。説明を受けた生徒たちも積極的に質問し、「治療院の中を初めてみることができた。」「すごくきれいな治療院で、レイアウトなどもしっかり考えられていて勉強になった。」といった感想が聞かれました。
 今回の研修のように、治療院について時間をかけてご説明頂いたことは、生徒達にとってとても貴重な経験となりました。
 患者様との関わり方や治療法について学び、卒業後の自身の治療スタイルを考えるきっかけとなる大変有意義な研修になりました。
 柴田先生、どうもありがとうございました。


写真① 写真①は、一年生が柴田先生のお話を真剣に聴いている様子です。
写真② 写真②は、柴田治療院の前で柴田先生ご夫妻、一年生、教員での集合写真です。


「特別講義 救命救急講習」

令和6年5月17日(金)

 鍼灸手技療法科1年生、2年生を対象に救命救急講習が行われました。鍼灸科では2年ごとに東京消防庁が実施する普通救命講習を受講しており、生徒は卒業するまでに必ず救命技能認定証を交付していただいています。今回は救急協会の救命講習指導者7名に加え、救急事業本部長・救急事業部長もご来校いただき、3時間にわたり講習をしていただきました。心肺蘇生やAEDの操作など生徒一人一人に対し丁寧にご指導いただき、講習後には生徒は自信をもって蘇生法やAEDの操作ができるまでになりました。
 生徒からは「人形もAEDも一人ひとつずつ準備していただき、さらに指導員の方も多かったので、非常に分かりやすくしっかりと学ぶことができた」「緊急事態が発生した時にこの経験は非常に役に立つと思う。周りの人の命を守りたいと思った。」などの感想がありました。
 いつ起こるか分からない急な事態に備え、落ち着いて安全に目の前の命を守れるよう、これからもいただいた救命救急教本を読み返すなど、知識・技術の維持と向上に励んでいけることを期待します。


写真① 写真①は、指導者の指示に従って、生徒が心臓マッサージを実施している様子です。
写真② 写真②は、人形の胸にAEDのパットを貼り付けて音声説明を聞いている様子です。



キルギス大使ご来校

令和6年5月15日(水)

 キルギス大使 オソエフ・エルキンベク(Erkinbek OSOEV)氏、大使夫人 ソルトバエワ・ジャミーリャ(SOLTOBAEVA Djamilya)氏、三等書記官 アラグシェワ・アルティナイ(Altynai ALAGUSHEVA)氏が、ご来校されました。本校鍼灸科では、これまでキルギスからの留学生が4名卒業しており、現在それぞれの進路で活躍しています。昨年度卒業生のサマットさんが大使館を訪問した際、盲学校に関するお話を大使とさせていただいたことをきっかけに興味を持ってくださり、今回のご来校となりました。
 大使には、学校概要を説明の後、小学部6年生の道徳、高等部1年生の数学、音楽科の演奏研究、鍼灸科のあん摩実技を見学していただきました。また、図書館、治療室等の説明をさせていただき、鍼灸科の授業で使用している模型や手作り教材なども見学していただきました。
 大使からは、「同じ障害のある教員が指導していることがとても素晴らしい」、「見せていただいた施設や授業など、今後キルギスの視覚障害者の教育に活かせるよう尽力したい」といったありがたいお言葉をいただきました。
 当日同行した卒業生のサマットさんからも、「大使に日本の盲学校を見学していただくことができてとても良かった、キルギスにも同じような学校を作れるよう自分も役に立ちたい」という感想がありました。
 今後キルギスにおいて、視覚障害者のマッサージ教育が発展していくこと、そして盲学校の教育が充実していくことを願います。そして、本校も可能な限り支援していきたいと思います。


写真① 写真①は、鍼灸科主任が大使に教員手作りの解剖模型を説明している様子です。
写真② 写真②は、キルギス大使ご訪問にあたりご参加いただいた方々の集合写真です。


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「特別講義 テーピングの実際」

令和6年3月12日(火)

 2年生にとって年度末最後の行事となる「特別講義」テーピング講座が本校で実施されました。
 ご指導いただいたのは、「(有)トレーナー・アローズ」の尾﨑由実子先生です。
 生徒達は膝から下の関節を保護するためのテーピング方法を教わり、クラスメイトにキネシオテープを貼る練習を行いました。テープを目的の部位に真っ直ぐ伸ばして貼り付けたり、皺にならないよう伸ばした状態をキープしながら貼り付けたりなど、苦戦している様子も見られました。
 また、弱視と全盲とでは、注意すべき点も異なり、視力に応じて手の使い方など自分なりのコツを見つけることも大切です。更に、体毛がテープに付着し、剥がす際に痛みを強く感じるなどのハプニングもありました。しかし、生徒個々に一生懸命取り組んだ結果、講義の最後には手際よく目的の部位にきれいに貼ることができるようになりました。
 講義中は、ひとりひとりが積極的に質問をしたり具体的な感想を述べたりする様子があり、生徒にとって日頃の授業の中では学ぶ事ができない大変貴重な時間になったと思います。
 今回担当してくださった尾﨑先生には、デモンストレーションを始め、説明などすべての生徒がゆっくり見たり触れたりしながら学ぶことができるよう工夫してくださり、大変わかりやすくご指導いただきました。
 本当にありがとうございました。


写真① 写真は、尾﨑先生のご指導のもと、生徒が前脛骨筋とアキレス腱のテーピングを練習している様子です。
写真②


記憶工学研究所様による授業見学およびミニ講義

令和6年2月20日(火)

 以前本校ホームページで、「記憶工学研究所様より経穴を記憶するための教材贈呈を受けた」ことをご報告しましたが、この度、経穴を記憶するための新たな教材開発に向けて、記憶工学研究所所長の池田義博氏他、研究所の皆さんが来校されました。
 
 経穴教材開発の参考にするために、1年生の授業を見学し、実際に盲学校の生徒がどのように経穴を学んでいるかを知っていただくことが目的です。
 
 「授業見学の様子」
 顔や頭にある経穴の部位や取り方について、拡大文字や点字の教科書で確認した後、「経穴人形」と呼ばれる模型を活用し、積極的に模型や自身の身体に触れて場所を確認したり、教員に質問したりしながら学習しました。
 
 授業の後には記憶方法について、20分の講義をしていただきました。
 記憶力をアップさせるには何が大切か、生徒達は大切なヒントを得たようです。
 その後も生徒や教員からの質問が止まらず、大変盛り上がった授業となりました。
 
 今後も、視覚障害者にとって役立つ教材作成のために、研究所の皆さんとアイデアを出し合ってチャレンジしていきたいと思っています。(岩池、原)
 


写真① 写真①は生徒が「経穴人形」と呼ばれる模型を確認している様子です。
写真② 写真②は記憶工学研究所様と本校生徒・教員の集合写真です。


校外施設実習、施設実習報告会

令和6年1月~2月

 鍼灸科2年生は毎年1月に約2週間、校外の様々な施設に伺い、実習をしていただいています。
 受け入れ先も様々で、企業内に設置されているヘルスキーパールーム、東洋医学系あるいは現代医学系の治療院、デイサービス施設など6施設にお世話になりました。
 
 生徒たちは初めて一人で実習先に通い、先生方にご指導いただき、学校では経験できない現場の厳しさ、様々な技術や工夫、そして仕事のやりがいについて学ばせていただきました。
 
 その2週間の成果をさる2月6日、校内の報告会にて鍼灸科教員と1年生に発表しました。
 1年生から実習内容について活発に質問が出され、来年実習へ出る後輩によい刺激を与えることができたようです。
 
 発表の中では、技術を教わっただけでなく、「意識が変わった」という発言や、実習をしていただいたことに対する「感謝」の言葉が印象的でした。
 実習で得たものを残りの学校生活で生かしていけるよう期待します。
 
 最後に、ご多忙の中、実習生として本校生徒を受け入れてくださった施設の皆様に深くお礼申し上げます。


特別講義 関節モビライゼーション

令和5年11月22日(火)

 鍼灸手技療法科3年生を対象に、関節モビライゼーションの特別講義が行われました。ご講義いただいたのは一枝のゆめ治療院の院長・筑波技術大学名誉教授、藤井亮輔先生です。
 特別講義ではまず、関節モビライゼーションの基礎理論として関節運動学の基礎について教えていただきました。カイロプラクティックで用いる瞬発的な徒手操作と違い、緩徐な手技で安全面に優れている半面、関節運動学に関する一定の知識、適応症に対する理解がなければリスクを伴う危険な手技だということも強調した上で、実際に肩関節、膝関節の関節モビライゼーションの方法を教えていただきました。生徒からは、「肩関節の動きの悪い患者が多いので、大変勉強になった」、「実際に行う場合には患者の関節の位置など気を付け、リスクのないよう施術したい」などの感想がありました。関節運動学の知識をしっかりと頭に入れ、普段の臨床実習にも活かしやすい、大変貴重な講義となりました。
 


写真① 写真①は、藤井先生が生徒の指の関節を台に関節モビライゼーションをされている様子です。
写真② 写真②は、藤井先生が台になっている生徒の膝の様子を、生徒の手を取って説明している様子です。


臨床研究報告会

令和5年11月9日(木)

 鍼灸手技療法科3年生による臨床研究報告会が行われました。報告会に至るまで、4月にはオリエンテーションで臨床研究の意義や研究の進め方について学び、過去の臨床研究報告会の資料や文献を検索し、5月には研究内容の決定、6月にはデザイン発表会を行い、生徒個々に研究を進めてきました。今年度は症例報告、実験研究報告が行われ、参加をしていた2年生や教員から多くの質問や意見が出され、活発な報告会となりました。
 
 以下、今年度の研究テーマです。
 ・慢性便秘に対する東洋医学的治療の一症例
 ・筋緊張が原因で起こる頸肩部のこりに対する按摩と鍼の施術順による治療効果の検討
 ・美容鍼による法令線短縮効果検証の一症例
 ・腰椎椎間板ヘルニア患者に対する低周波鍼通電療法と腰痛体操を組み合わせた治療の試みと考察
 ・梨状筋症候群に対する理療施術の一症例
 ・芳香刺激が慢性疼痛の施術効果におよぼす影響について~芳香刺激の有無による施術効果の比較~
 ・手指の皮膚低温に対する手技の効果の確認-按摩術式と指圧術式の比較-


写真① 写真は、3年生の報告を熱心に聞いている生徒の様子です。



筑波大学附属病院リハビリテーション部見学実習

令和5年10月10日(火)

 鍼灸手技療法科2年生6名が筑波大学附属病院リハビリテーション部で見学実習を行いました。
 見学の目的は2つです。1つは実習をご担当くださったリハビリテーション部理学療法士の石川公久先生より、ご講義をいただくためです。リハビリテーションの歴史と概念に関するお話、さらに医療倫理と絡めて、時代と共に変容するリハビリテーションについて詳細に、講義をしていただき、大変興味深く聞かせていただきました。
 2つ目の目的は、普段、座学だけでは理解することが難しい、リハビリテーションで使用する装具等に実際に触れることです。生徒達は実際に装具を装着し、どのような工夫がなされているのか実感し、学びを深めていました。
 お忙しい中、多くの時間を割いて実習をしてくださった石川先生、そして、ご協力いただきましたリハビリテーション部の皆様に感謝いたします。本当にありがとうございました。
 


写真① 写真は、下肢装具を観察し構造を確認している様子です。
写真② 写真は、生徒が実際にチルトテーブルを体験している様子です。


介護老人保健施設ケアセンター南大井 施設見学実習

令和5年10月5日(木)

 鍼灸科2年生は品川区にある介護老人保健施設ケアセンター南大井へ施設見学に伺い、理学療法士の伊藤滋唯先生より3時間に渡り、大変貴重なご講義をいただきました。
 本センターは脳血管疾患などでリハビリを必要とする高齢者が、在宅復帰を目標に入所する施設です。そのため、リハビリの訓練をする際に気をつけていること、リハビリを好まない利用者に対してどのような説得を試みるのかなど、具体的な現場の様子について伺うことができました。
 また、介護保険制度についても大変分かりやすく説明していただき、現在日本が抱えている問題や今後の課題について、知識を深めることができました。生徒の皆さんも積極的に質問をし、学びを深めている様子が見られました。更に生徒の感想として、「普段の授業とは異なり、実践的な角度から見たお話をお聞きすることができ勉強になった」という内容が多く、知識の幅を広げることができ、非常に有意義な施設見学になったと思います。今後の学習や職場実習に活かしていってほしいと思います。
 改めて、このような機会を設けてくださった伊藤先生を始め、介護老人保健施設ケアセンターの皆様に感謝いたします。本当にありがとうございました。
 


写真① 写真は、理学療法士の伊藤滋唯先生と一緒に撮った写真です。


特別講義 経絡治療

令和5年9月26日(火)

 鍼灸手技療法科3年生を対象に、経絡治療の特別講義が行われました。ご講義いただいたのは大船東洋鍼療院の吉田清隆先生です。大船東洋鍼療院は、東洋医学に準じた脈診流鍼灸術による全体治療と局所治療を組み合わせ、根本治療を目指した治療院で、軽微な刺激で気の調整や全身調整が行われています。
 特別講義では、始めに脈診の基礎として六祖脈の取り方を教えていただきました。その後、生徒は脈の見方のレクチャーを受けながら台になり、日頃使用している鍼ではなく員鍼や鍉鍼(ていしん)を用いて先生から治療をしていただきました。治療前後に脈や皮膚・筋の状態がどのように変化したのかを生徒自身が確認することができ、軽微な刺激でも十分に治療効果が出せることを実感できました。生徒からは、「治療室で患者さんに行っている治療の刺激量について再度見直すよい機会になった」、「実際に経絡治療の効果を実感することができ東洋医学の勉強意欲がわいた」などの感想がありました。新たな治療技術に触れ、経絡治療について興味を持ち、臨床をはじめとするこれからの学習に活かすことができる講義となりました。


写真1 写真は、吉田先生が台になっている生徒の脈状の説明をしている様子です。
写真2 写真は、吉田先生の鍉鍼治療を生徒が見学している様子です。


東京消防庁 感謝状贈呈式

令和5年9月11日(月)

 鍼灸手技療法科では1、2年生を対象に救命救急の特別講義を実施しています。小石川消防署の隊員の方々にご来校いただき、胸骨圧迫や心肺蘇生、AEDの操作、異物除去など、救命救急に必要な知識と技術を学んでいます。3時間の講習を経て、生徒は救命技能認定証を取得することができます。
 鍼灸科が長年にわたり救命講習を受講したことが認められ、救急の日及び救急医療週間における取組みの一環である感謝状贈呈式にご招待いただき、小石川消防署の署長から直々に感謝状を贈呈していただきました。
 今後も引き続き、大切な人を、家族を、命を守るため、救命講習を受講し、知識と技術を学んでいきたいと思います。


東京消防庁感謝状贈呈式1 「写真は、小石川消防署の署長からいただいた感謝状です。」
東京消防庁感謝状贈呈式2 「写真は、感謝状を受け取った方々と小石川消防署の隊員の方々との集合写真です。」


記憶工学研究所様 教材贈呈式

令和5(2023)年7月19日(水)

「記憶法を使ってツボを覚える!?」
 さる2023年7月19日、鍼灸手技療法科にお客様がいらっしゃいました。
 記憶法を駆使した勉強法などの著書を多数出している記憶法開発の第一人者のひとり、池田義博氏(記憶工学研究所所長)と、研究所の皆様です。
 目的は、このたび史上初と池田氏がおっしゃる、視覚障害があってもイメージを駆使して膨大な知識を学ぶ教材の贈呈です。鍼灸を学ぶ生徒は、いわゆるツボ361個の名前や部位を授業で1年かけてコツコツ覚えるのですが、これをもっと効率よく、短時間で名前を覚えられるようにと動画教材を開発していただいたのです。
 
 贈呈式には青木隆一校長、山口崇副校長も参列し、数社のメディアの取材も入りました。池田氏からは、どうすれば記憶がよくなるのかなど興味深いお話をしていただきました。夏休み明けに、さっそく経穴を学び始める1年生と、この教材の試用が始まります。
 視覚に障害がある人でも使えるよう開発して頂いたこの教材を、今後も大切に活用していきたいと思っています


記憶工学研究所様教材贈呈式1 「写真は、贈呈式にて教材を贈呈してくださった記憶工学研究所の方々と本校教員の集合写真です。」


ふれあいマッサージ

令和5年7月4日(火)、7日(金)

 鍼灸手技療法科3年生が「NPO法人みみずくの杜 区民ひろば南池袋」で校外実習を行いました。
 利用者さんたちの心身の健康保持に寄与すると共に、交流を通じて施術者としてのコミュニケーション能力を高めるという目的で行っている行事です。
 生徒7名がそれぞれ6名ずつ、2日間で合計42名の利用者さん達にあん摩マッサージの施術をしました。
 以下、参加生徒の感想です。

 今回のふれあいマッサージでは、計6人の方にあん摩マッサージをさせていただきました。
 6人それぞれ違う体つきをしていて、力加減も異なっていました。短い時間ではありましたがいろんな人の体を触ることで技術向上やホスピタリティ精神の必要性を実感し、多くのことを学ばせていただきました。
 このようなイベントで地域の方々と接することは、より我々の学校の存在や視覚障害者と理療について知ってもらう良い機会になると思いました。


ふれあいマッサージ写真1 「写真は、治療を希望してくださった方を熱心に施術している生徒たちです」


特別校外研修

令和5年5月23日(火)

 鍼灸科1年生、2年生を対象に特別校外研修が実施されました。
 
 2年生は本校の卒業生である小宮ご夫妻が経営する板橋駅前オアシスはり灸治療院へ見学に行きました。駅のすぐ前にあるアクセスのよい治療院で事前にお伝えしていたたくさんの生徒からの質問にお答えいただきました。
盲学校で鍼灸を学ぼうとしたきっかけ、免許を取ってから開業するまで大変だったこと、施術の技術をどう磨いたか、患者さんのために日々どのようなことを考えているかなどなど、とても刺激になるお話を聞くことができました。また、これからオープン予定の別院もみせていただき、ご夫妻のこだわりがたくさん詰まった素晴らしい治療室で、院長先生の施術の一端をみせていただきました。見学後数日してから生徒達からのお礼の言葉とコメントを小宮先生に送りました。生徒達にとって、今の自分について、勉強に取り組む姿勢や将来の進路について改めて考えるきっかけになったようです。
素晴らしい先輩鍼灸師の先生方のお姿をみることができてよい研修となりました。
 
 1年生は両国にある江島杉山神社に行きました。境内にある岩屋や力石などを見学させていただいたあと、杉山和一記念館では音声ガイドで歴史的資料についての解説を聞き、さらに杉山鍼按治療所の院内も見学させていただきました。生徒は杉山検校頌徳碑に書かれた点字を一生懸命に読んだり、歴史的資料の説明を興味深く聞き、有意義な時間を過ごすことができました。


写真1 写真は小宮先生の鍼施術を熱心に見学している生徒たちです
写真2 写真は生徒を台に鍼施術をされている小宮先生です




2024/11/20