筑波大学附属視覚特別支援学校のWEB

「ツクバード」の成り立ち

 本校には2018年3月に生まれた独自のゆるキャラがいます。その名も「ツクバード」。イヌワシをモチーフにしたキャラクターで、額にはアイシェード、首から単眼鏡を提げています。

 このキャラクターは、障害があっても世界へ羽ばたいて活躍できるようにという意味を込めて、鳥のキャラクターになっています。「いいグループ」、つまり「それぞれがいいクラスになること」を願ってイヌワシ(イーグル)がモチーフに選ばれました。

 キャラクター作成にあたっては、「盲学校に関わるもので、かつ本校らしいもの」をコンセプトに全校で案を募集しました。小学部の児童から専攻科の生徒、さらには教員からも応募があり、18作品が集まりました。その中から3案に絞り、全校投票を行った結果、高等部普通科生徒が作成した「ツクバード」が本校の公式キャラクターとなりました。

 みなさん、ぜひ応援して下さい。

ツクバードのマスコットツクバードマスコットを両手で確認
ツクバードの点図ツクバードの点図を両手で確認



 ツクバードで塗り絵、あるいは点字盤で描画をしてみたい人は、以下のリンク先に飛んでみよう!
 →チャレンジしてみよう! ツクバードの塗り絵と描画


 ツクバードに限らず、人形や点図を触るときの教育的観点を以下に示します。参考にしてください。

マスコット・人形などを触る時のポイントや提示の仕方

 指先を動かして、はじめに感じ取ることは、「ふわふわ」「ごわごわ」「つるつる 」といった表面の肌理や素材の感触です。熱い・冷たいといった温度の情報も同時に感じます。また、手を動かして、大きさや形の概略を知り、さらに持ち上げることによって、重さを把握できます。
 形を含め、人形の特徴を把握する上では、両手を用いることが大切になります。人形の輪郭に添って頭の方から足先まで、両手を同時に同じ速度で動かすことによって、左右対称かどうかがわかります。
 さて、人形の向きは、どう置いたらよいでしょうか。対面でなく、自分と同じ向きにして人形の後ろから触ると、左右で逆転することなく、自己の身体イメージと重ね合わせることができます。
 細部を把握する際、例えば、顔、胴体、手・足などの大まかな分類ができれば、今度は、顔の領域における眼・鼻・口の位置関係を、指先を動かして把握します。人形の大きさや特徴にもよりますが、基点を設け、両手を用いて、位置関係を把握します。
 全体として、手・指先を動かし、情報を継時的につなげていきますので、部分から全体を把握する上では、短期記憶の活用、さらに情報をまとめて把握するための基本図形や立体の概念があると理解を容易にするでしょう。
 また、全体像が瞬時にわかる視覚とは異なり、触覚を用いて理解する場合、補助者による言葉の説明やフィードバックがあることで、正確に把握できたり、安心して触ったりすることが可能となります。

触図を触る時のポイント、触って理解するために必要とされる力

 指先を動かすことによって、はじめに、線分の長さ、方向などの概略がわかります。しかし、全体像の把握は、図の大きさや複雑さにもよりますが、眼で見るよりも格段の集中力が求められます。5円玉の穴から覗いて、一部しか見えない状態で、全体を一生懸命把握しようとすることと同じかもしれません。そのため、触って理解するための時間の保障が大切になります。短時間に何種類も触るのではなく、基本形をしっかりと時間をかけて触り、その特徴を踏まえることにより、類似したものは言葉での説明で理解することも可能になります。
 また、触る前に、図が表しているもの、そして、目的や特徴を言葉で説明することによって、図をイメージしながら見通しを持って触ることができ、触る時間を短縮したり、安心して触ったりすることができます。
 触り方は、人形と同様に、両手を用います。触る対象物にもよりますが、両手を同時に同じ速度で動かすことで、左右の対称性などがわかります。また、閉じた図形などは、片手で基点を設け、もう一方の手を動かして、その図の形や特徴を把握することができます。
 なお、図を触って把握する方略は、一つではなく、片手でも、指先を広げて、2点、3点の位置関係を把握することもできます。円・三角・四角などの基本図形や、長さや大きさの比較など、単純でわかりやすいものから、楽しんで触ってみる練習をするとよいでしょう。
 なお、点図・触図を理解するためには、肩・肘・手首などの関節を支点とする触運動の統制、対象物の素材や肌理に応じた力の加減、距離・方向などの位置関係の理解、指先で感じる情報を継時的につなげて全体を把握し、イメージする認知力、情報をまとまりとしてとらえるための基本図形の概念、立体と平面図形の関係性・図形の重なりを理解する思考、触ったイメージを言葉で表現する言語能力など多岐に渡ります。
 これらは、様々な教育活動において、具体物を触り、空間内を主体的に探索して移動し、認知と運動の相互作用によって、学習を発展させる過程で培われるものです。 そして、それらの経験を机上の学習で整理し、再構成することによって、図などを用いた抽象的思考につなげていくことができます。


「ツクバード」イラストを無断で転載、複製、送信、配布、貸与等をする行為はご遠慮ください。

2021/08/03