筑波大学附属視覚特別支援学校のWEB

家庭科




大根の輪切り リバーシブルの手提げ

<家庭科授業風景>



1.教育目標


(1)生活に必要な知識、技能を習得し、実生活の中で見出した課題を主体的に解決する姿勢と、実践力を身につけ、自立すること。
(2)一般の道具や設備を工夫することで、視覚に頼らず使うことができることを理解し、日常生活を快適で安全に営む力を身につける。

 この目標に沿って本校中学部においては基礎的な知識の習得と技能訓練を主体とし、家庭内の安全と健康に配慮できるよう指導している。 また、高等部においては、卒業後の生活の自立、家庭と社会の連携、持続可能な社会への視点を持たせるよう、関連する実習を多く行っている。


2.教材の留意点


ガスコンロの使い方

(1)教材の精選
 手や指、五感(音、触感、匂い)などの体全体を使い、実感することで、物事を深く理解できるものを選び扱う。
(2)生徒の資質に応じたものを選ぶ。
 触って確認できるものや個々の視力に合わせて理解できる資料や具体物を提示する。
(3)完成した喜びが味わえるものを選ぶ。
 被服実習 : 実生活で使用できる作品の製作を通して各自の技術を成長させ、作る喜びを得、既成品の成り立ちを理解する。
 調理実習 :「調理の準備〜片付け」の全行程を一人で出来るようになるために、一人に一台の調理台を使用し、一度の実習で一品のみを作ることにしている。


3.授業実践紹介



リバーシブル手提げの製作

(1)被服実習の実践例
1、ティッシュボックスケースの製作(中1)
 針の扱い、玉結び、玉留め、並縫いなどの基礎縫いと、ボタン付けを練習し取得する。
2、リバーシブルの手提げ袋の製作(中1)
 安全なミシン縫いの操作と布の扱いを習得する。
3、ボード織りによる小物の製作(中2)
 被服繊維(毛、アクリル、綿)の特性や被服材料(織物と編み物)の成り立ちを理解する。
4、エプロンの製作(中3)
 これまで身につけた手縫いやミシン縫いなどの技術を応用し、生活に活かせることを理解する。

(2)調理実習の実践例
食物分野は生活の質に直結するため家庭科で最も重点を置いている領域である。
実習では1人で全行程を行うため、手早い準備ときちんとした後片付けが必要であり、毎回の実習で自然と身についていく。
以下に調理実習の内容(抜粋)を挙げる。
1、野菜の塩もみ
 野菜の特徴を理解し、包丁操作の練習をし、いろいろな切り方に挑戦する。


2、リンゴやジャガイモの皮むき
 包丁での皮むきを習得する。

りんごの皮むき
   <りんごの皮むき>

3、文化鍋で炊飯
加熱調理の基礎(ガスコンロの安全な操作、加熱の見極め)を習得する。

文化鍋での炊飯
   <文化鍋での炊飯>
   菜箸を用い、持ち手の場所の確認をしている
4、青菜の卵とじ
 加熱調理の応用
5、フレンチトースト
 フライパンを使った加熱調理を行い、加熱の見極め、フライ返しを習得する。
この応用としてこの後にハンバーグステーキ、鮭のムニエルを作る。
フレンチトースト
   <フレンチトースト>
6、親子丼(高等部)
 親子鍋を体験し、溶き卵を途中から箸などを伝わせて入れる方法を身につける。
親子丼
   <親子丼>
7、茶わん蒸し(高等部)
 蒸し器を使って蒸し物を作る。
8、鶏の唐揚げ(高等部)
 IHを使って揚げ物を経験する。

(3)家庭との連携
実習した調理を家庭での宿題とし、保護者へ見守りや協力をお願いすることが多い。環境が変わっても安全に作業をし、自分でできることを増やす機会になるようにと願っている。

2020/06/29