筑波大学附属視覚特別支援学校のWEB

Q15 校内環境で、留意すべきことはありますか?

 弱視児童生徒が安心して、学校生活を過ごすためには、学校内の環境についても整備をしていくことが望ましいです。先ほどのQ14に加えて、学校全体として取り組めることについてご紹介します。
 校内整備については、学校教職員による配慮・工夫でできることと、整備に対して予算を確保して取り組むことの2つに分けられます。それぞれの観点でご説明します。

○学校教職員による配慮・工夫でできることの例
・廊下の足元や頭上に物を置かない(視野の狭い児童生徒等にとって、通行の障害となるものを取り除く)
・見え方によって壁などを手で伝って歩くこともあるので、触って危険なものは取り除く (対象の児童生徒が歩く環境に掲示物などを壁には貼らない)
・レリーフ(大きな絵でぱっと見てわかるもの)などを児童生徒の目線に近い位置に置き、レリーフを見て何の教室なのかがすぐにわかるようにする
 *ハレパネなどで、教室前に貼っておくなどがお勧めです。小学校の場合、例えば図工室なら、のこぎりや金槌の絵などが描かれていると良いです。中学校以上の場合には、大きくわかりやすく教室名が書かれていると良いです。
・教室にナンバリングをして、教職員や児童生徒と共有する
例:「図工室」といった教室名に加えて、「268」などのように各教室に番号を振っておくと、弱視児童生徒の基点となるホームルーム教室と図工室との位置関係が把握しやすいです。

〇予算を確保して取り組むことの例
・廊下などの蛍光灯の照度を上げることや、照明を取り付ける
 暗くて歩きにくい環境は、蛍光灯を明るいものに交換する、もしくは新たに照明を取り付けることで、明るい環境で安心して移動ができます
・階段など段差のコントラストを明確にする
 廊下と階段が同系色になっている場合には、階段の段鼻(段の縁)を目立たせるための色のテープを貼ることで、一時的ではありますが、配慮することもできます。

 上記の弱視児童生徒の見え方に配慮した整備(ハード面の整備)に加えて、周りの子どもたちや教職員などの周囲からの理解(ソフト面の整備)も必要となってきます。子どもたち、先生方でよく話し合った上で、校内の環境整備を進めていくことが大切です。

教室名・教室番号のプレート 教室名・教室番号のプレート
階段の4階を示す横バー 階段段鼻の色(コントラスト)
凸点付き手すり(4階)

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