筑波大学附属視覚特別支援学校のWEB

Q13 拡大教科書にはどのような種類があり、申請はどうしたらよいですか?

 拡大教科書には、大きく分けて教科書出版社が発行する拡大教科書と拡大写本ボランティアがオーダーメイドで製作する拡大教科書があります。出版社が発行する拡大教科書は、文部科学省が定める拡大教科書の標準的な規格に準じて作成されています。標準的な規格では、字体はゴシック体、文字の大きさは22ポイント(B5判)が標準とされています。また、それを一回り小さくした18ポイント(B5判)と一回り大きくした26ポイント(B4判)の3種類を発行することを求めています。小学校低学年は、標準的な文字の大きさが22ポイントではなく、26ポイントになっています。現在、義務教育段階においては、ほとんどの検定教科書で3種類の拡大教科書が発行されていますが、中には1種類しか発行されていないものもあります。

 高等学校段階の標準的な規格では、義務教育の3種類に加え、原本を単純に1.4倍程度に拡大した拡大教科書も発行することになっています。ただ、高等学校段階は教科書の種類が多いこともあり、視覚特別支援学校(盲学校)で採択している教科書の拡大教科書は発行されていますが、その他はほとんど発行されていません。また、盲学校採択の教科書でもすべての科目で4種類の拡大教科書が発行されているわけではありません。

 出版社が発行している拡大教科書でも文字が小さい、そもそも拡大教科書が発行されていないというような場合、拡大写本ボランティアに製作を依頼することができます。その窓口は全国拡大教材製作協議会です。この場合も学校教育法附則第9条に基づき、義務教育や盲学校高等部においては無償給与の対象となります。

 申請は、在籍する学校から教育委員会へ届け出していただくことになります。地域の小中学校の場合、学校の先生や事務職員が拡大教科書やその申請手続きをご存じでないことも考えられますので、教育委員会にお問い合わせしていただくことをお勧めします。
 また、2019年よりすべての児童生徒がデジタル教科書の一部利用ができるようになり、特に視覚障害がある児童生徒は、教育課程のすべてにおいてデジタル教科書を学習に用いることができます。デジタル教科書は紙の教科書と同じ内容をデジタル化したもので、主にタブレット端末に表示して使用します。デジタル教科書には、拡大縮小、白黒反転、リフローなどの機能が備わっています。教科書出版社が発行している教科書デジタルデータを障害者用に加工して提供している主なデジタル教科書には以下の3つがあります。
(1)日本障害者リハビリテーション協会「マルチメディアデイジー教科書」
(2)東京大学先端科学技術研究センター「Access Reading」
(3)慶應義塾大学「PDF版拡大図書」

 このうち、(1)日本障害者リハビリテーション協会「マルチメディアデイジー教科書」および(2)東京大学先端科学技術研究センター「Access Reading」は個人で申請します。(3)慶應義塾大学「PDF版拡大図書」は学校からの申請が必要です。

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