筑波大学附属視覚特別支援学校のWEB

Q9 単眼鏡は、どのような場面で有効に活用できますか?

 弱視の児童生徒が、低視力などの自分の見え方を補うためには、遠用弱視レンズ(以下、単眼鏡)を使って、遠くのものを見ます。

○単眼鏡を活用する場面の一例
【授業】
・黒板に書かれた見えにくい文字等を見る
・教室の前で生徒や先生が発表や授業をしている際に、紙に書かれた資料やテレビモニター等に提示されているものを見る
【発表会・鑑賞教室・校外学習】
・発表会やコンサートなど、ステージ上の遠くで行われているものを見る
・美術館など、所定の離れた位置から絵画等を見る
・校外学習(例えば工場見学)において、遠くでされている作業工程を見る
【通学】
・駅構内の看板や運賃表、駅ホームでの案内掲示板など、近寄って見ても見えないものを見る

 教室で前列に限らず黒板使用を含めた授業を想定した場合、視力0.6が確保できる程度の倍率が望ましいと言われています。倍率の合わせ方は、回転式、スライド式があり、レンズの口径を含め、見やすく扱いやすいものを選ぶと良いです。また、遠くを見る時に使うiPadなどと使い分けができるように指導していけると効果的です。
 弱視児童生徒が単眼鏡を扱うには練習が必要です。具体的には、以下の順で練習します。
(1)遠くのものにピントを合わせる練習から始めます。
(2)提示された単語、文、文章(行替あり)を読み取り、板書などに対応できるようにします。
(3)黒板やホワイトボードの広い範囲から対象の文字や図を探すというような練習(探索の練習)を重ねていきます。
(4)静止しているものだけではなく、動きのあるものに単眼鏡を使って追って見ていく練習も積み重ねていくことが望ましいです。
 単眼鏡は、例えば日本点字図書館で体験用の無料貸し出しもありますので、実際に訪問して、ご自身の見え方にあったものを選ぶことをお勧めします。また、補装具費支給制度対象品ですので、購入の際には、事前に各自治体と確認の上、ご購入いただくと良いです。
 参考:
単眼鏡は軽くて持ち運びしやすい
(紐が付いていて首からかけて使用できる)
単眼鏡を使って路線図を見ている様子

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