筑波大学附属視覚特別支援学校のWEB

Q7 見え方を支える補助具として、何がありますか?

(1)ルーペ
 ロービジョン用のレンズの種類はたくさんあり、眼疾、発達段階、用途によって使用するレンズが違うので、どの様なレンズが最適なのか眼科や視能訓練士などの専門家、視覚特別支援学校に相談しましょう。視覚補助具は用途によって使い分けができるよう練習が必要なので、最初の段階では、視覚特別支援学校や弱視学級などの専門機関と連携して、使用方法を習得するとよいです。
 ルーペは最も手軽に手元の文字を拡大して見ることができる視覚補助具です。様々な種類と倍率がありますが、10倍以上の高倍率のルーペは、読書など長時間使うには目に負担が大きく、不向きです。また、ライト付きレンズは視対象を明るく照らし、持ち運びにも便利であり、用途に合わせて自分が使いやすいルーペを選ぶとよいでしょう。本人が必要性を理解し、主体的にレンズを使う態度を育てることが大切です。
 ルーペの詳しい使い方はQ8をご参照ください。

エッシェンバッハ LEDライトルーペ

(2)単眼鏡
 単眼鏡は少し離れた場所にある対象物を見るための視覚補助具です。6倍または8倍の倍率が選ばれることが多く、学校では主に板書を見る際に使われます。ひもを付けて首から下げるなどして、必要に応じてすぐに取り出して使えるようにしておきます。また、板書を見る際には、筆記用具との持ち替えを避けるため聞き手と反対側の手で操作することも、効率的に使えるようになるために必要なことです。 ルーペや単眼鏡の使用には、他の児童生徒と違うものを使うことで、注目されたり質問されたりして、本人がそれらの使用に抵抗を示すこともあります。「視覚補助具を使用することによって見えやすくなる」ということを周囲の児童にも理解してもらい、本人が抵抗なく使用できる環境をつくることも大切です。単眼鏡の詳しい使い方はQ9ご参照ください。

(3)拡大読書器
 拡大読書器はカメラで対象物を写し、拡大して画面に表示する視覚補助具です。主に据え置き型と携帯型があり、倍率の幅が大きいこと、画面表示を白黒反転させたり、色のコントラストを調整したりすることができるのが大きな特徴です。拡大読書器の詳しい情報はQ10をご参照ください。

(4)ICT
 視覚障害児童生徒の文字や図形等の処理に関しては、上記のように補助具を活用して文字や図表等を拡大して見たり、レイアウトの調整ができますが、ICTを活用することでも弱視児童生徒一人一人の見え方に合わせることができます。PCを使って文字入力をすることで鉛筆やペンでの筆記に代わるノートテイクを行ったり、iPadのカメラ機能を使って、黒板に書かれた文字を撮影し手元で拡大して見たり、学習に有効なアプリを入れることで漢字の部首などの作りを分けて見ることができたりなど、多くの学習・生活の場面でICTを活用しています。ICTを活用した詳しい情報については、Q11をご参照ください。

(5)遮光眼鏡
 遮光眼鏡はまぶしさの原因となる光だけを効果的にカットし、それ以外の光をできるだけ通すように作られた特殊な眼鏡です。まぶしさによりもやがかかったような状態を、適切に光をカットすることで、明るさを保ちながら像の輪郭をはっきりさせることができます。遮光眼鏡のレンズは多くの色があり、まぶしさの感じ方は人それぞれ違うので、自分が一番快適に見えるレンズを選ぶ必要があります。
 遮光眼鏡の形としては、通常の眼鏡の上から掛けられるタイプや、顔とレンズの隙間から光が入らないように上と横も覆われているタイプもあります。

遮光眼鏡

(6)書見台
 弱視児童生徒が文字を読む際は、かなり目を近づけることが多いため、姿勢が悪くなりがちです。書見台を活用することで姿勢を改善することができます。
 書見台には様々なタイプがあります。障害児施設や特別支援学校等において活用されている「チェインジングボード」(写真1)にオプションのビッグボードを取り付けて使用する方法があります。また、特定非営利活動法人「京 自助具館」では、弱視児用書見台を製作・販売しています(写真2)。
 市販されているブックスタンドを書見台として代用したり、書見台を自作する方法もありますが、その場合は、角度調節が可能である、書字する際に安定感がある、マグネットシート付きで紙を磁石で止められる、という点を考慮するとよいです。

書見台書見台

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