筑波大学附属視覚特別支援学校のWEB

Q6 視野の情報で、何がわかるのですか?

 弱視では視野に欠損がある場合は多く、視野の中でどの部分が欠けているか、あるいは見えているかによって、見え方は大きく変わります。
 視野の中でも中心部分(黄斑部)はもっとも視力が良い部分で、中心からほんの少しずれるだけで極端に視力は下がります。文字を読むときには、この視力がもっとも良い部分で読んでおり、視線を動かさずに読める範囲はほんの数文字です。通常は無意識のうちに眼球運動をさせることによって、滑らかに文章を読むことができます。したがって、視野の中心部分に欠損があると、文字を読んだり書いたりすることが非常に困難になります。視野の中心が欠けることを中心暗点と言い、眼球の黄斑部や錐体といったところに変性が起こると、中心暗点が見られる場合が多くあります。中心暗点があっても周辺視野が保たれている場合には、行動的に大きな制限はなく、特に移動面においては比較的スムーズにできている姿がよく見られます。
 また、中心部の視力はある程度保たれたまま、周辺の視野が欠損していくこともよくあります(求心性狭窄)。身体障害者手帳(視覚障害)は視力または視野によって認定の基準が設けられており、視覚障害者の中には視力に異常がなく、視野のみで身体障害者手帳を取得している人もいます。その場合、非常に狭い視野の中で文字を読むことは可能であり、狭い視野の中では大きな文字は読みにくいため、文庫本のような小さな文字を読んでいる人もいます。しかしながら、視野の大部分は欠損しているため、行動的には制限が大きく、移動時には手引きをしてもらっているのに、文庫本が読めているというような状況が、周囲に誤解されてしまうこともあります。求心性狭窄の場合、拡大された文字や図は見づらいことが多く、また全体を把握することや、何かを検索することに時間がかかります。例えば、資料で図を示す場合には、縮小したものを紙の隅に印刷すると探しやすく、見やすくなります。反対に中心暗点の場合は、視力の良い中心部で見ることができず、視力が出にくい中心外で見ることになるため、小さな文字や図は見づらく、拡大したものを示す方が見やすくなります。

視野狭窄のイメージ 中心暗点のイメージ

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