筑波大学附属視覚特別支援学校のWEB

Q5 読みやすい文字の種類やサイズを把握するためには、どうしたらよいですか?

 拡大教科書の選定は、視力測定や視機能評価の結果から考察します。弱視の子ども達は、数字だけでは表すことができない見えにくさが複合的に生じています。日常的な行動観察や医療との連携によって実態を正しく把握することが大切です。
 「視力検査」は医師や視能訓練士など有資格者が行う検査ですが、学校現場で教育的なかかわりをするために「教育的視機能評価」として教員が評価をすることがあります。

(1)MNREAD(エムエヌリード)
 弱視児は眼疾患の状況によってさまざまな見え方を呈します。その状況を正確に把握し適切な教育を模索していくために視機能の評価があり、その中の一つに MNREAD という行動視力を測定する指標があります。この測定を行うと以下の項目がわかります。
① 臨界文字サイズ(MRS: Maximum Reading Speed)
 → 最大読書速度で困難なく読める最小の文字サイズ ※最小の拡大率の指標
② 最大読書速度(CPS:Critical Print Size)
 → サイズが最適な場合に読める最大速度
③ 読書視力(Reading Acuity)  → 何とか読むことのできる最小の文字サイズ
 視覚特別支援学校が在籍校と連携して測定を行います。弱視児が学習する教室で測定を行うので、実態に合わせた見え方や教科書の読み方の理解につながります。

MNREAD-Jk及び評価の様子

(2)読速度チェック
 中学部以上では、限られた時間の中で簡易的に読速度のチェックをしています。文章(例えば本校では、宮沢賢治の童話「セロ弾きのゴーシュ」などの文章を一部使用)を1分間に何文字読めるのか、適切な文字サイズやフォントはどれか、拡大読書器やルーペなどの補助具を活用した時との違いはどうか(補助具を正しく使えているかも確認)などを計測しています。

 読速度を計測している場面の動画

 

(1)読みやすい文字サイズを、ゴシック体、あるいは明朝体で選択する。
(2)できるだけ速く読むように促し、文字数や視距離を計測する。
(3)(1)で選んだ文字サイズに対して、プラス4ポイント、マイナス4ポイントの文字サイズ(同フォント)についても、視距離を同じにして同様に計測し、読速度を比較をする。

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