筑波大学附属視覚特別支援学校のWEB

Q1 弱視の人はどのように見えていますか?

 弱視の人の見え方は千差万別です。まぶしさを極度に感じたり、暗いところでは途端に見えにくくなったり、視野が狭かったり、あるいは、視野は広くても、中心が見えづらいなど、様々です。また、進行性の場合には、発症当初と、その後の経過で、見え方が大きく変化する場合があります。

通常 しゅう明(まぶしさ)
視野狭窄 ぼやけ(屈折)

〇見えにくさは、机上での学習において、以下の困難を生じさせる場合があります。
1.小さい文字、細かい表示がわかりづらい。
2.文字は判別できても、読書時の行替えでつまずきやすい。
3.見えている部分と全体との関係を把握することが難しい。
4.境界線や背景がはっきりしないと、対象物がわかりにくい。
5.類似色の区別、遠近感・距離感がわかりづらい。
6.すばやく動くものを目で追うことが難しい。
7.目と手の協応や数値の読み取り(作図・計測・計量)など、文具・器具等を用いた作業を正確に行うことが難しい。

○仕草や行動からの理解
 見えにくさのある子どもたちは、その見えにくい状況をなんとかしようと、特有の行動をすることがあります。これらは、見えにくさに気づき、適切な支援につなげる上で、大切なポイントになります。
1.見たい対象物に、眼が接近するぐらいに近づける
 →近づけることによって、網膜に投影される像を拡大しようとします。
2.眼を細める
 →まぶしさの回避、あるいは、ピンホール効果が考えられます。
3.視線や顔が、正面でなく、少し斜めを向いている
 →斜視、あるいは中心は見えないが、網膜の周辺で見える箇所があるときに、それを効果的に用いようとしていることが考えられます。また、眼振と静止位の関係から、顔を傾けることがあります。
4.下を向いている
 →移動時は、転倒しないように、常時下を向いている場合があります。また、太陽光や蛍光灯の明かりによるまぶしさを避けるために、下を向くことがあります。

 見えにくさは、天候や時間帯、その日の体調によって、左右されることがあります。また、屋内と屋外の環境では、見え方が大きく異なることがあり、行動にも影響を与えます。

 見えにくい子どもたちの支援においては、多様な見え方があることを理解した上で、視力・視野などの視機能を的確に把握するようにします。また、本人・保護者からの聞き取りと行動観察から困りごとに寄り添い、適切な支援と配慮につなげていくことが大切です。

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