このページでは筑波大学附属視覚特別支援学校長より、このWebをご覧になった方へご挨拶申し上げます。
校長室から
新幹線と自分――未来へ走り出す
10月2日、大阪で開催された「全国盲学校弁論大会」において、本校高等部1年生の菅野善仁さんが、見事、優勝しました。
この大会は、全国盲学校長会、毎日新聞社点字毎日が主催し、文部科学省が後援する全国大会です。全国の盲学校から選ばれた生徒が、それぞれの思いや経験、将来への希望などを自らの言葉で語ります。
菅野さんが弁じたテーマは、「新幹線と自分」
菅野さんにとって、新幹線は、幼い頃から好きだったものの一つです。しかし、視覚と聴覚の障害を併せ有する自分にとって、「新幹線が好き」という思いを、そのまま将来の夢として追い続けることには、様々な難しさがあります。
弁論の中で菅野さんは、そうした自分自身の障害と向き合いながら、「新幹線が好きだった」という思いを、これからは別の形で新幹線に携わることにつなげていこうとする、自分自身の考えを語りました。
そこには、「できないから諦める」のではなく、自分にできることを考え、自分らしい形で未来につなげていこうとする姿がありました。
障害がある自分を受け止めること。
そして、その自分だからこそ見えること、できることを考え、自分の未来を描いていくこと。
菅野さんの弁論は、単に一つの夢を語ったものではなく、自分自身の生き方を見つめ、これからの人生を自分の言葉で切り拓いていこうとする思いが込められていたのだと思います。
週明け、菅野さんが校長室を訪れ、優勝の報告をしてくれました。
晴れやかな表情で報告する菅野さんの姿を見ながら、私は、全国の舞台で自分の思いを堂々と語り切ったことを、とてもうれしく思いました。
そして、何よりうれしかったのは、「優勝」という結果だけではありません。自分の好きなものを大切にしながら、自分自身を見つめ、これからどんな未来をつくっていくのかを考え、それを自分の言葉で多くの人に伝えたことです。
「新幹線と自分」。このタイトルには、菅野さんがこれまで歩んできた道と、これから走り出そうとする未来が込められているように感じます。
菅野さん、全国大会優勝、本当におめでとうございます。
これからも、自分らしい速度で、自分らしい未来に向かって走り続けてください。
令和8年10月13日 筑波大学附属視覚特別支援学校 校長 森田 浩司

