このページでは筑波大学附属視覚特別支援学校長より、このWebをご覧になった方へご挨拶申し上げます。
校長室から
未来の教師たちとともに ~自立活動の重みを伝えて~
9月、本校には筑波大学から教育実習生2名、そして障害科学実践入門の受講生38名、あわせて40名の学生を迎えました。国立大学附属学校の大きな役割の一つは、未来の教育を担う人材を育てることにあります。まさにその使命を実感しました。
特に、教育実習生の2人は、3週間にわたり本校で学びを深めました。最後には授業研究の機会があり、自立活動の時間を通して、生徒と向き合う姿を披露しました。対象の授業となったのは、全員が点字で学習している生徒たちです。授業の準備段階では、初めてのことばかりで不安や緊張もあったと思いますが、本校の指導教員のあたたかなサポートにより、実習生自身も一歩ずつ前に進んでいたように思えます。
印象に残っているのは、授業前日に学習指導案を手に校長室を訪ねてきた姿、そして授業後に再び挨拶に来てくれたときのことです。その折に私は、自立活動は障害のある子供たちの学びを支える基盤であり、各教科の指導を支える重要な役割を担っていることを強調しました。学習指導要領やその解説にも、その意義が明確に記されていることを改めて伝え、「これから教師を志す上で大切にしてほしい」と念を押しました。実習生は真剣な表情でうなずき、その重みを受け止めている様子が印象的でした。
振り返ると、私自身、これまで各教科の学習指導案には数多く触れてきましたが、自立活動の指導案をこうして手に取る機会は、それほど多くはありませんでした。特別支援教育において、自立活動は要の領域です。その授業計画には、視覚障害のある生徒を対象にした必要な支援と指導の工夫が込められており、「こうして一人一人に応じ学びを深めていくのだ」という思いが伝わってきました。
「教師を目指しています!」――そう語った実習生の言葉には、確かな希望と決意が宿っていました。教育の未来は、こうした若い世代の挑戦と志によって築かれていきます。本校での経験が、彼らの歩みに小さくとも確かな糧となることを願ってやみません。教師を志す方々が少なくなったといわれる今、この力強い決意に安心と期待を胸に、私たちは彼らの成長をこれからも見守っていきたいと思います。
令和7年10月7日 筑波大学附属視覚特別支援学校 校長 森田 浩司

