筑波大学附属視覚特別支援学校のWEB

 このページでは筑波大学附属視覚特別支援学校長より、このWebをご覧になった方へご挨拶申し上げます。


2月の校長室から


 元日に発生した令和6年能登半島地震から1月がたちます。地震による死者数200名を超え、未だ安否不明の方もおられます。そして1万人以上の方々が避難生活を余儀なくされています。視覚障害のある方も含めて災害時要配慮者の方々は、より不便で辛い生活を余儀なくされているだろうと思うと胸が痛みます。
 先日、被災地の市役所に勤務している学生時代からの友人と連絡が取れました。地震直後に「これ、やばいわ」というLINEが来て以来、ほとんど連絡がとれていなかったのです。元気でいることに安堵し、「友人として何かできることはあるか?」と問いました。彼は「道路事情が想像以上に悪く渋滞が発生している。だからボランティアの受け入れができていない。長い戦いになりそうだから、今は市のHPや報道に注意を向けてもらえたらそれでいい。被災地のことを忘れないでくれ」と返信がありました。彼も被災者ですが、市役所職員として市民のために必死に戦っている姿が目に浮かびました。災害だけでなく事件や事故は発生時こそ大々的に話題になりますが、時間とともに人の記憶から遠ざかっていく。でも当事者や関係者はずっとずっと戦っているんだよというメッセージでした。そのことを心に刻み、改めて、被災地の全ての方々、復興支援に携わっている方々に心からエールを送り、今自分にできる支援を届けたいと思います。

 さて、地震大国である日本では、いつどこで大地震がおきても不思議ではありません。東日本、熊本、今回の能登半島などと同規模の地震が、東京で発生する可能性もあります。本校は幼児児童生徒だけでなく、職員にも視覚障害のある人がいます。ましてや寄宿舎が設置されており、多くの生徒たちが24時間学校の敷地内にいます。見えない・見えにくいことから、地震により大きく変化する周囲の状況を瞬時に把握することが難しい。彼らの命をどう守り、どう安全を確保し、どう保護者やご家族につなげるか。もちろん災害発生時緊急体制は組んでいますが、被災地の映像を見ているとあれだけの自然災害に対して学校としてできることには限界があると感じます。しかし危険を想定し心構えをしておくことはできる。その筆頭が、学校行事である避難訓練をしっかり行うことです。子どもたちが、自ら身の回りの危険を予測・回避し、安全に対する意識を高め、自分自身で判断し行動するなどの力を付けられるようにしなければなりません。他者に助けを求める方法も必要でしょう。火事や地震から命を守るための学習ですから、手抜きは許されません。指導される先生方も真剣勝負、子どもたちも真剣勝負。
 本校では今月避難訓練を実施することになっています。校長講評の時に、子どもたちに話そうと思っています。
 「最終的に自分の身を守れるのは、自分自身です。」


令和6年2月1日
筑波大学附属視覚特別支援学校
校長 青木 隆一

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2024/2/1