筑波大学附属視覚特別支援学校のWEB

 このページでは筑波大学附属視覚特別支援学校長より、このWebをご覧になった方へご挨拶申し上げます。


11月の校長室から


 11月1日は「日本点字制定記念日」。明治23(1890)年のこの日、本校の教員であった石川倉次先生の案が採用されたことにちなんでいます。今日は点字に思いをはせ、身近にある点字を見付けていただけたら幸いです。
 さて、今年も残るところ2月になりました。一日の寒暖差が大きくなり、季節が変わってきていることを肌身で感じています。
 古代中国から伝わり、平安の世から使われるようになったという暦「二十四節気」を御存じのことと存じます。春夏秋冬をさらに6つに分け一年間を24の節気とし、それぞれ漢字2文字で表したものです。それぞれに深い意味と由来があり、知れば知るほど引き込まれます。我が国の大切な文化の一つと言えましょう。秋から冬への移り替わりを告げる節気は立冬ですが、この立冬が間もなく(今年は11月8日)にやってきます。私の肌身が感じる季節はまだ秋なので、冬のはじまりという節気がしっくりきません。温暖化という環境に言葉が適合していないわけです。二十四節気の「不易と流行」として、いまの気候に応じた現代版二十四節気があっても面白いのではないかと思います。
 話は変わりますが、盲学校もその取り巻く状況と将来を見据えて変わっていく、いや変えていく必要があります。先月、滋賀県で開催された全国盲学校長会においても、全国共通の課題である在籍者数の減少、視覚障害教育の専門性の維持・向上、持続可能な視覚障害教育のセンターとしての役割、今後の理療教育の在り方等について、時間をかけて情報交換や協議を行いました。特に在籍者数の減少に至っては、盲学校としての存続にすら黄色信号が灯りかねないという声もありました。どの課題も確実に成果に結びつく方策はなく、各学校とも突破口を模索しています。一つ言えることは、インクルーシブ教育がどんなに推進されようとも、学校の形態がどう変わっても、見えない・見えにくい子どもが一人でもいる限り視覚障害教育は不滅であるということ。これを不易とするならば、流行はどう考えていったらいいのか。本校とて例外ではありません。私が盲学校教員になった頃は考えもしなかったことを、考えなければならなくなってきました。一人では何もできませんが、チーム全国盲学校、チーム附属視覚ならなんとかなるかもしれない。最近、そんなことを思っています。

令和5年11月1日
筑波大学附属視覚特別支援学校
校長 青木 隆一

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2023/11/1