筑波大学附属視覚特別支援学校のWEB

 このページでは筑波大学附属視覚特別支援学校長より、このWebをご覧になった方へご挨拶申し上げます。


5月の校長室から

 新年度が始まり、もう一月が立ちました。4月当初、他校からの新入生が広い校内で戸惑う様子が見られましたが、メンタルマップも定着し、すっかり慣れた様子で校内を移動しています。その姿は頼もしいものです。

 周囲の環境を視覚的に確認することができない児童生徒にとって、未知の場所での移動には困難が伴います。このままでは学校生活はスタートできません。そこで、自立活動の出番です。丁寧かつ意図的・計画的な指導を繰り返し行うことで移動の困難さを一つ一つ軽減していきます。例えば、教師から口頭による説明を聞いたり、校舎の触察地図や立体模型を触ったりしながら、校舎の全体構造から各教室等の階数や位置などを頭の中に作ります。これをメンタルマップをといいますね。そして昇降口から教室へ、教室から体育館や音楽室へ、教室からトイレを経由して食堂へなど、メンタルマップと照らし合わせながら、安全に気を付けて移動できるようになる。自分で行ける場所が増えることで、当初の戸惑いが自信や自己肯定感へと変わり、その自信が学習面も生活面にも好影響を与える、そして本校の一員として活躍していくことになります。

 視覚障害教育の基本の「き」の一端をご紹介しましたが、教育においてはこの基本を疎かにせず、しっかり行うことが重要です。そう「凡事徹底」です。本校には145年余の歴史と伝統を通じて蓄積してきた学校としての視覚障害教育の専門性があります。個々の先生方も視覚障害教育の研修会等で講師を務める人材ばかりです。早期教育も、盲ろう教育も、音楽教育も、教科教育も、鍼灸手技や理学療法といった職業教育も我が国トップクラスです。本校で学び巣立った卒業生の多くは、それぞれの可能性を最大限に開花・発揮させ、各分野の第一線で活躍しています。こんなスペシャルな学校なのだから、基本的なことはできているはず。しかし、ここに落とし穴があるのかもしれません。教育の様々な場面で当たり前のことを見過ごしていないだろうか。それは時として学校にとって致命傷にもなりかねない。

 そこで、本年度、先生方に「凡事徹底」をお願いし、当たり前のことをしっかりやっていこう、さらに学校力を高めていこうと呼びかけました。「凡事徹底」のもと、本校の幼児児童生徒、先生方のますますの活躍が楽しみでなりません。

令和5年5月8日
筑波大学附属視覚特別支援学校
校長 青木 隆一

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2023/5/8