筑波大学附属視覚特別支援学校のWEB

 このページでは筑波大学附属視覚特別支援学校長より、このWebをご覧になった方へご挨拶申し上げます。


校長室から

「限界をつくらない場所」― 全国の仲間と学んだ山形大会 ―

 先日、「2026年度視覚障害教科教育研究会 山形大会」が開催され、委員長としてご挨拶をさせていただきました。大会は、会場は70名、オンラインは650名もの先生方にご参加いただき、全国の視覚障害教育に携わる多くの仲間とともに学び合う大変有意義な研修会となりました。

 開会にあたり、まず、令和8年熊本地震で被災された皆様へのお見舞いを申し上げました。全国の視覚障害教育に携わる者として、被災された子供たちが一日も早く学びと日常を取り戻せることを願い、その思いを参加者の皆様と共有しました。
 今回の研究会では、文部科学省特別支援教育調査官による講演をはじめ、各教科の実践講座などを通して、点字学習指導や触察教材など、視覚障害教育の今日的な課題と可能性について学び合いました。改めて「教科の学びを通して子供の可能性を広げること」の大切さを実感したところです。

 そして、私にとって最も印象深かったのは、パラリンピック金メダリストの東京ガス株式会社所属の木村敬一選手のご講演でした。
 木村選手は、ご自身が学ばれた盲学校について、「限界をつくらない場所」であったと語られました。その言葉には、盲学校で出会った先生方や仲間への深い感謝と、自らを高めようと努力を重ねてきた歩みが凝縮されているように感じました。
 さらに、世界の頂点に立つまでの道のりを支えたものとして、「人生を見据えたプラス思考」と、思うようにいかないことがあっても気持ちを切り替え、前へ進む「リセットする力」が、世界の頂点に立つ強さにつながっているというお話であると受け止め、大変心に響きました。競技の話だけではなく、一人の人間として、困難と向き合いながら成長していく姿勢そのものを学ばせていただいた思いです。

 講演後には、会場の内で実際に金メダルを手に取らせていただく貴重な機会もありました。ずっしりとした重みを感じながら、その重さの向こうには、計り知れない努力と挑戦の積み重ねがあることを改めて実感しました。

 ご参加いただいた全国の盲学校の先生方も、それぞれの学校で子供たちと向き合う日々への励みや、新たな力をいただいたのではないでしょうか。

 盲学校とは、障害によって可能性を狭める場所ではなく、一人一人が自らの可能性を信じ、限界を決めることなく挑戦できる力を育む場所です。
 今回の学びを、本校の教育にも生かしながら、子供たちが未来に向かって自信をもって歩んでいける学校づくりを進めてまいります。

令和8年8月24日 筑波大学附属視覚特別支援学校 校長 森田 浩司

校長室から バックナンバー

 以前の校長室からはこちらからご覧いただけます。

2025年度 2025年 4月4日「着任の挨拶・学校教育の方向性について・学校としての決意」
2025年 4月18日「新しい生活のスタートで学んだ “生きる力” 〜地域とともに、生徒たちとともに〜」
2025年 5月7日「地域に支えられて~放課後等デイサービス事業所との連携~」
2025年 5月23日「理学療法科の授業に協力して:社会に生きる力を育む実践の場」
2025年 6月2日「地元・大阪で輝いたその一蹴——ブラインドサッカー国際大会 優勝の報告」
2025年 6月23日「沖縄慰霊の日に寄せて ~平和を考える給食時間~」
2025年 7月7日「理学療法士国家試験における合理的配慮について ~視覚障害のある受験生のために~」
2025年 7月25日「足元の自然に耳をすませて~飯盛山登山に代わる自然観察から~」
2025年 8月5日「自立へつながるキャンパス体験~「支援を受ける側」から「支援を活かす側」へ~」
2025年 8月21日「視覚障害教育への熱きまなざし ~ それぞれの夏季研修の始まり ~」
2025年 9月2日「「準備は裏切らない!」——全国大会 優勝、そして次の挑戦へ!」
2025年 9月25日「音楽に込めた想い ―音楽科3年生の挑戦」
2025年 10月7日「未来の教師たちとともに ~自立活動の重みを伝えて~」
2025年 10月29日「あふれる二人羽織 ~視覚障害教育の基本~」
2025年 11月4日「からだを診る、こころにふれる ―ALSの方々との出会いから学ぶ―」
2025年 11月27日「「ちいさな力、大きながんばり!」みんなのうんどうかい」
2025年 12月9日「31人の世界が並んだ日 ~ 一日だけの作品展 ~」
2025年 12月22日「未来の理療師~養成施設との連携が拓く理療教育~」
2026年 1月7日「新年にあたってのご挨拶 ―150周年の節目の年―」
2026年 1月30日「挑戦の先に広がる学び ― トビタテ!留学JAPANを通して―」
2026年 2月12日「学校を支える温かなまなざし- 触感に込められた思いやり」
2026年 2月27日「視覚障害教育の現在地― 全国からの120名とともに考えた、授業と協議のかたち ―」
2026年 3月17日「音で感じる、料理の時間―寄宿舎「サウンドフルクッキング」の取組―」
2026年 3月25日「新たな門出 ― 魂のこもった卒業演奏とともに ―」
2026年度
2026年 4月 1日「学校教育の方向性、創立150周年を迎えて、学校としての決意」
2026年 4月20日「創立150周年の年のはじまりに ― 歴史の中にいる私たち ―」
2026年 5月13日「研修から見えてきた盲学校の現状 ―関東地区盲学校ルール研を開催してー」
2026年 5月25日「本校の創立期を振り返る ― はじまり ―」
2026年 6月11日「人を支える学びの、その先」
2026年 6月22日「受け継がれてきた専門性 ― 視覚障害教育の工夫と積み重ね ―」
2026年 7月9日「人を育て、人に支えられてきた学校― 150年の歩みを支えてきた「つながり」―」
2026年 7月27日「全国につながる支援の輪 ― センターオブセンターとしての役割とは―」
2026年 8月6日「変化の中で進化してきた教育 ― 技術革新とともに歩む ー」

2026/8/24