筑波大学附属視覚特別支援学校のWEB

 このページでは筑波大学附属視覚特別支援学校長より、このWebをご覧になった方へご挨拶申し上げます。


校長室から

視覚障害教育の現在地
― 全国からの120名とともに考えた、授業と協議のかたち ―


 2月に入っての週末、本校において「第22回視覚障害教育研究協議会」を実施し、公開授業・研究協議を開催しました。あいにく感染症による学年閉鎖となり予定の授業が一部公開できない状況となりましたが、週末の開催にもかかわらず、全国各地から120名を超える皆さまにご参加いただき、会場には特別支援学校教諭、大学教員、学生など、立場や経験の異なる多様な参加者が集いました。国立大学法人に設置された、視覚障害教育を担う唯一の特別支援学校として、本校に寄せられる期待の大きさを、あらためて実感する機会となりました。
 本研究協議会では、開催要項とともに、学習指導案集や研究協議テーマに沿った資料、あるいは問題提起となる情報を冊子としてお配りし、共有することで、授業参観後の協議がより深まり、参加者一人一人が主体的に意見を交わす場となることを目指しております。視覚障害教育の実践と理論が往還する、本校ならではの学びの時間であったと感じています。

 また、今回は、学習指導案作成にあたって、授業者にとっては日頃から自然に行っている視覚障害に関する指導上の配慮を、あえて言語化することを大切にしました。来校された皆さまが、指導案と実際の授業とを往還しながら、「なぜこの場面でこの手立てが必要なのか」「視覚障害のある子供たちに授業をするとはどういうことか」を読み取り、協議の場で対話できるようにするためです。そのため、「学習活動」において意図的に講じている指導上の留意点を、少なくとも一つは明文化することをお願いしました。あわせて、使用する教材・教具が、幼児児童生徒にとってどのような意味をもち、どのような合理的配慮として位置付いているのかが共有できるよう記載することも意図しています。
 私自身、教員として初任の頃に参加した、歴史ある研究協議会を、今回は校長として開催する側となりました。当時、先達の議論に圧倒され、視覚障害教育の奥深さと可能性に強い衝撃を受けた記憶がよみがえるとともに、現在もなお、この分野に熱量をもって向き合うマンパワーが全国に確かに存在していることを心強く感じました。
 視覚障害教育は、専門性と経験に支えられると同時に、それらを言葉にし、問いとして共有し、対話を通して磨き合うことで価値付けされ、発展してきました。本校はこれからも、その拠点としての役割を自覚し、研究と実践を往還させながら、全国に向けた発信を続けてまいります。


令和8年2月27日 筑波大学附属視覚特別支援学校 校長 森田 浩司

校長室から バックナンバー

 以前の校長室からはこちらからご覧いただけます。

2025年度
2025年 4月4日「着任の挨拶・学校教育の方向性について・学校としての決意」
2025年 4月18日「新しい生活のスタートで学んだ “生きる力” 〜地域とともに、生徒たちとともに〜」
2025年 5月7日「地域に支えられて~放課後等デイサービス事業所との連携~」
2025年 5月23日「理学療法科の授業に協力して:社会に生きる力を育む実践の場」
2025年 6月2日「地元・大阪で輝いたその一蹴——ブラインドサッカー国際大会 優勝の報告」
2025年 6月23日「沖縄慰霊の日に寄せて ~平和を考える給食時間~」
2025年 7月7日「理学療法士国家試験における合理的配慮について ~視覚障害のある受験生のために~」
2025年 7月25日「足元の自然に耳をすませて~飯盛山登山に代わる自然観察から~」
2025年 8月5日「自立へつながるキャンパス体験~「支援を受ける側」から「支援を活かす側」へ~」
2025年 8月21日「視覚障害教育への熱きまなざし ~ それぞれの夏季研修の始まり ~」
2025年 9月2日「「準備は裏切らない!」——全国大会 優勝、そして次の挑戦へ!」
2025年 9月25日「音楽に込めた想い ―音楽科3年生の挑戦」
2025年 10月7日「未来の教師たちとともに ~自立活動の重みを伝えて~」
2025年 10月29日「あふれる二人羽織 ~視覚障害教育の基本~」
2025年 11月4日「からだを診る、こころにふれる ―ALSの方々との出会いから学ぶ―」
2025年 11月27日「「ちいさな力、大きながんばり!」みんなのうんどうかい」
2025年 12月9日「31人の世界が並んだ日 ~ 一日だけの作品展 ~」
2025年 12月22日「未来の理療師~養成施設との連携が拓く理療教育~」
2026年 1月7日「新年にあたってのご挨拶 ―150周年の節目の年―」
2026年 1月30日「挑戦の先に広がる学び ― トビタテ!留学JAPANを通して―」
2026年 2月12日「学校を支える温かなまなざし- 触感に込められた思いやり」

2026/2/27