筑波大学附属視覚特別支援学校のWEB

 このページでは筑波大学附属視覚特別支援学校長より、このWebをご覧になった方へご挨拶申し上げます。


校長室から

150周年を迎えるにあたって ― 過去から未来へ、次の一歩へ ―

 これまで「校長室より」では、本校の歴史や、そこに込められた先人たちの思いをたどってきました。創立の背景、日本語の点字を完成させた石川倉次先生の功績、そして、時代とともに変化しながらも受け継がれてきた視覚障害教育への情熱。歴史を振り返るたびに感じるのは、150年という長い年月は、決して過去の人々だけがつくってきたものではないということです。
 1875年、楽善会の人々の思いから始まった本校の歩み。多くの先人たちが、視覚障害のある子供たちの学びを支え、一人一人の可能性を信じ、その時代に必要な教育を追い求めてきました。その積み重ねが、今日の本校へとつながっています。
 そこには、学びを深め、挑戦を重ねてきた幼児児童生徒がいます。子供たち一人一人の成長を願い、日々の教育に力を尽くしてきた教職員がいます。そして、学校を信頼し、共に子供たちを支えてくださった保護者の皆様や、地域、関係機関の皆様がいます。
 本校の150年は、こうした多くの方々の思いと営みが重なり合って築かれてきた歴史です。これまで本校を支えてくださったすべての皆様に、心より感謝申し上げます。
 そして今、私たちは、この歴史を次の時代へとつないでいく節目に立っています。
 150周年という言葉を聞くと、次の50年、あるいは次の100年という、遠い未来を思い描くかもしれません。しかし、未来は、遠くにある大きな目標だけでつくられるものではないと私は考えます。
 目の前の子供の声に耳を傾けること。昨日より少し分かるようになったこと、できるようになったことを共に喜ぶこと。一人一人の願いや困難さに向き合い、よりよい学びの在り方を考え続けること。教職員同士が専門性を持ち寄り、支え合いながら、新たな可能性に挑戦すること。その一つ一つが、未来につながる大切な一歩です。
 時代が変われば、教育に求められることも、求められる力も変わります。新しい技術が生まれ、社会の在り方が変わっても、私たちが大切にしたいのは、幼児児童生徒一人一人を理解し、その可能性を信じ、共に歩んでいくことです。
 そして、本校が培ってきた視覚障害教育のノウハウを、これからの社会にどのように生かし、広げていくのかを考え続けることです。
 創立150周年記念事業は、これまでの歩みに感謝し、その歴史を皆で確かめ合う機会です。同時に、これからの本校を、私たち自身がどのようにつくっていくのかを考える機会でもあります。
 過去を振り返ることは、懐かしむためだけではありません。先人たちが大切にしてきた思いを受け取り、今の私たちにできることを考え、次の一歩を踏み出すためです。
 150年の歴史の先にあるのは、まだ誰も見たことのない未来です。その未来をつくるのは、今、本校で学び、働き、子供たちを支えている私たち一人一人です。
 150周年を、過去を称えるだけの節目にするのではなく、未来への一歩を踏み出す節目に。
 これまで本校を支えてくださった皆様への感謝を胸に、幼児児童生徒、教職員、保護者、そして本校につながるすべての皆様と共に、これからの本校をつくっていきたいと思います。

令和8年10月26日 筑波大学附属視覚特別支援学校 校長 森田 浩司

校長室から バックナンバー

 以前の校長室からはこちらからご覧いただけます。

2025年度 2025年 4月4日「着任の挨拶・学校教育の方向性について・学校としての決意」
2025年 4月18日「新しい生活のスタートで学んだ “生きる力” 〜地域とともに、生徒たちとともに〜」
2025年 5月7日「地域に支えられて~放課後等デイサービス事業所との連携~」
2025年 5月23日「理学療法科の授業に協力して:社会に生きる力を育む実践の場」
2025年 6月2日「地元・大阪で輝いたその一蹴——ブラインドサッカー国際大会 優勝の報告」
2025年 6月23日「沖縄慰霊の日に寄せて ~平和を考える給食時間~」
2025年 7月7日「理学療法士国家試験における合理的配慮について ~視覚障害のある受験生のために~」
2025年 7月25日「足元の自然に耳をすませて~飯盛山登山に代わる自然観察から~」
2025年 8月5日「自立へつながるキャンパス体験~「支援を受ける側」から「支援を活かす側」へ~」
2025年 8月21日「視覚障害教育への熱きまなざし ~ それぞれの夏季研修の始まり ~」
2025年 9月2日「「準備は裏切らない!」——全国大会 優勝、そして次の挑戦へ!」
2025年 9月25日「音楽に込めた想い ―音楽科3年生の挑戦」
2025年 10月7日「未来の教師たちとともに ~自立活動の重みを伝えて~」
2025年 10月29日「あふれる二人羽織 ~視覚障害教育の基本~」
2025年 11月4日「からだを診る、こころにふれる ―ALSの方々との出会いから学ぶ―」
2025年 11月27日「「ちいさな力、大きながんばり!」みんなのうんどうかい」
2025年 12月9日「31人の世界が並んだ日 ~ 一日だけの作品展 ~」
2025年 12月22日「未来の理療師~養成施設との連携が拓く理療教育~」
2026年 1月7日「新年にあたってのご挨拶 ―150周年の節目の年―」
2026年 1月30日「挑戦の先に広がる学び ― トビタテ!留学JAPANを通して―」
2026年 2月12日「学校を支える温かなまなざし- 触感に込められた思いやり」
2026年 2月27日「視覚障害教育の現在地― 全国からの120名とともに考えた、授業と協議のかたち ―」
2026年 3月17日「音で感じる、料理の時間―寄宿舎「サウンドフルクッキング」の取組―」
2026年 3月25日「新たな門出 ― 魂のこもった卒業演奏とともに ―」
2026年度
2026年 4月 1日「学校教育の方向性、創立150周年を迎えて、学校としての決意」
2026年 4月20日「創立150周年の年のはじまりに ― 歴史の中にいる私たち ―」
2026年 5月13日「研修から見えてきた盲学校の現状 ―関東地区盲学校ルール研を開催してー」
2026年 5月25日「本校の創立期を振り返る ― はじまり ―」
2026年 6月11日「人を支える学びの、その先」
2026年 6月22日「受け継がれてきた専門性 ― 視覚障害教育の工夫と積み重ね ―」
2026年 7月9日「人を育て、人に支えられてきた学校― 150年の歩みを支えてきた「つながり」―」
2026年 7月27日「全国につながる支援の輪 ― センターオブセンターとしての役割とは―」
2026年 8月6日「変化の中で進化してきた教育 ― 技術革新とともに歩む ー」
2026年 8月24日「「限界をつくらない場所」― 全国の仲間と学んだ山形大会 ―」
2026年 9月10日「「読むこと、書くこと」をひらいた人― 石川倉次先生と、点字が支える学び ―」
2026年 9月28日「一つの贈り物から、全国へ ~点字がつないだ、思いと出会い~」
2026年 10月13日「新幹線と自分―未来へ走り出す」

2026/10/26