視覚障害教育センターの基本構想(1996/03/11)
名称:視覚障害教育センター
所在地:現在地(東京都文京区目白台 3-27-6)
設立の主旨
都道府県立等の各盲学校は,幼児・児童生徒数が極端に減少し,全国的に見ると在籍する幼児・児童生徒(以下,児童生徒)がいないクラスが目立つ一方,重複障害の児童生徒の比率が大きいという傾向が顕著になっている。また,盲学校の教員側の実態として点字に習熟した教員が少なくなるなど,視覚障害教育の場としての将来への危ぐが指摘されるに至っている。
一方,ノーマライゼイションの理念の普及とともに,行政や盲学校側の強い反対論や指導にも関わらず,統合教育は否定しがたい流れとして形成されている。
全盲の児童生徒の統合教育は,数的にはさほど大きく進展していないものの地域的な広がりを見せ,親子が強く主張すれば,保育園・幼稚園・小学校・中学校・高校(以下普通校)および養護学校に入学を認める行政機関(自治体)が多くなってきている。
また,弱視の児童生徒については,適応できる限度ギリギリまで普通校に在籍している事例が多く,特殊教育の場である盲学校へ通うことへの抵抗感・拒否感は根強いものがある。このように,普通校に在籍している視覚障害(主として弱視)の児童生徒の数が少なからざるものになっているものと思われ,こうした児童生徒に対して,視覚障害教育の保障が充分に,また,適切な形で行われていないものと,われわれは認識している。
このような中にあって,普通校における視覚障害児童生徒に対する教育上の支援体制をどのように組織的に行うことが出来るか検討することが,視覚障害教育にとっての急務である。
本校は,幼,小,中,高等部において,統合教育に対して積極的に相談・支援を行ってきた。その上に,大学進学に関しては,一般大学への進学を積極的に進めてきており,その点において,ノーマライゼイションの実績を数多く積み上げてきているといえよう。
このような実績を踏まえて,将来各都道府県単位に設立されるであろうと考える統合教育支援センター(仮称)の体制と有機的につながることを考慮しつつ,本校は全国レベルの機能を発揮する視覚障害教育センター確立を構想し,それに向けて,徐々に移行する体制を整えたいと思う。
視覚障害教育センター
センター
- 保育園・幼稚園・小学校・中学校・高校および養護学校に在籍する視覚障害幼児児童生徒に対して教育相談を行い,特に必要とするケースに対しては支援サービス(点字・歩行・触図・触察,レンズ等補装具,生活訓練,情報処理機器などの指導)を行う。そのための巡回教員を配置する。
- 都道府県にできる地域センターとの連携・情報サービスを行う。
- 地域センターの教職員及び,統合教育に携わる教員の研修の場とする。
- 一般大学に在籍する学生への支援サービスを行う。
- 企業などに就職した視覚障害者に対し,必要に応じて支援サービスを行う。
- センターに,研究部門,サービス部門(教育相談等),広報室の3部門を置く。
- センターに,附属教育図書・博物館を付置し,あわせて実践教育機関としての附属学校を設ける。
附属教育図書・博物館
- 視覚障害教育に関する内外の資料・文献の収集・保存・公開を行う。
附属学校
- 幼稚部・小学部・中学部・高等部(普通科・音楽科)・専攻科(普通科・音楽科)から構成される。
- 附属学校に,寄宿舎を置く。
- 現状の教育形態である盲学校を当面存続させる。その後は,視覚障害教育を実践的に継承していくための小規模な学校をセンターと連携を保ちつつ,存続させる。
現状の筑波大学附属盲学校をいかに移行させていくか。
- [1〜2年] サービス(教育相談等)部門の体制を整える。
- [3〜4年] 現状の中で,センター的役割業務の量と内容を整理し,実態を明らかにし,準備室を発足する。
- [ 5年後 ] サービス(教育相談等)部門の確立。
- [10年後] 視覚障害教育センターを確立。
検討課題
- 各地のリハビリテーションセンターとの関係:点字・歩行の指導
- 点訳業務:点訳事業部及び,既存の点字出版所との関係
- 他の盲学校との関係:連携の取り方
- 教育対象者:他の障害教育機関との関わり方
- アジア各国などへの海外協力
視覚障害教育センター 組織図
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2000/12/08