筑波大学附属視覚特別支援学校のWEB

点字盤




  1. フランス式点字盤

     およそ2mずつの距離に凹ミゾをつげた金属板と一枚の定規からなっている。日本には英国式、点字盤が一足先に入ったので、我が国ではフランス式は普及しないでしまった。

  2. イギリス式点字盤

     アーミーテージは金属板を木質板に、一枚定規を二枚定規に、横凹ミゾを六つの凹点とした。日本には英国式点字盤が仏国式より早く入ってきた。英国式は大小二種あり、大は35マス、縦35・横23.5・である。小は25マスで、これを模倣したのが日本の点字盤である。明治35年頃20面輸入したのが輸入の最後だったらしい。当時価格1円30銭也

  3. 凸点式点字盤

     スェーデンのパプラセックは点字の読み方と書き方を同一にするため、また、紙をかえす必要をなくするため定規の下板の凹点を逆に凸点にし、凹頭の点筆を使うことを思いついた。そのための一応の目的は達せられたが、打つ際点筆の凹部と下板の凸点を適合させるのが簡単にいかないので普及しないでしまった。本校にあるのは国内製である。

  4. 滝録松の点字盤

     本器の裏に「日本において初めて点字盤を製作したる東京府平民滝録松が本業を廃止するに際し記念のため製作し寄付せるものなり」とある。定規には157の番号がうってある。(明治36年)

  5. 滝製懐中点字器

     滝録松の亜鉛製懐中点字盤は国内製の初めてのものである。(明治25年)

  6. 仲村製点字盤

    当時25マス、31マス、32マスの定規しかなかったが、仲村豊次郎氏は一気に37マスの点字盤を作った。紙押えは木製から金属にかえた。投票用点字盤、折たたみ式点字盤、百マス二行の、点字器、戦中戦後はニュームの点字盤がある。

  7. 詠進用点字盤

    詠進用専用のマス数に作られてある。

  8. 点字定規

    (a)長さ50・巾2.6・79マス2行マスの大きさは37マス点字盤の大きさ。
    (b)長さ67・巾3.2・100マス2行マスの大きさは25マス点字盤より大きい。二本とも地図、図形、短冊書記用に作られた。

  9. 数学用点字盤

    (a)石川重幸考案数学用凸点式点字盤
     紙をはずさずにみられるもので、筆算形式の計算をしたい等の欲求からうまれたものである。スエーデン式を採用したもの。
    (b)南雲総次郎考案数学用点字盤
     広い懐中点字盤形式で、定規の上板を縦に二分して観音開きにしてある。ニューム製、点字は数学用だから4点である。

  10. 折たたみ式点字盤

    携帯に便利なように点字板を二つ折りに出来るもの。蝶番で接合してある。

  11. 投票用点字盤

    投票用紙にかたどり、金属部分が広く、マスは氏名を書くのに必要とされるマス数しか作られていない。

  12. 石川倉次氏の点字盤

     石川倉次氏は明治19年訓盲唖院雇として特殊教育に入り、明治23年日本訓盲点字を完成した。昭和19年疎開地群馬県安中町で逝去されたが、その後ご遺族より寄贈されたものである。裏に「明治二四年二月二三日求、石川倉次」と記されている。イギリス製、大型のものである。

  13. 木製印字器

    1.2・四方、長さ6・の角柱の一方に凸字ひらかなをつくり、反対の端に点字で同一の文字を真鍮鋲でつくってある。上陵を三角にきざんで文字の上下を示すようにしてある。箱の一隅に墨肉あり。点字翻案後も晴眼者との通信用にこの印字を使用した人もあった。この種の印字を使った作品で有名なものは葛原句当の日記であろう。(我が国盲人で自ら活字を使用することを工夫したのは葛原がはじめてである)


2007/04/09