筑波大学附属視覚特別支援学校のWEB

Q バスや電車の降車位置が固定されない場合はどのように指導していますか?



(1) バス
 バスは電車と違って、乗務員に話かけやすいということからとても便利です。しかし、道路の混み具合や工事等に影響され、比較的簡単に乗降場所が変わってしまうという点があり、視覚障害者にとって困ることも多いです。
 指導者は、想定される降車位置について、降車位置から目的地(駅、学校など)までの道順や混み具合、歩きやすさについて事前に下見をすることが必要です。同じ路線を走っているバスでも、会社や系統によって降車位置が異なる場合があります。降車位置からの移動に自信がない場合は、本人が降車位置をきちんと把握できるバスが来るまで待つように指導します。乗車時、バスが停車したらアナウンス(会社名、系統、行き先など)をしっかりと聞くように指導し、聞き逃した場合は一歩踏み込んで、白杖を見せながら運転士に聞こえる声で確認することを指導します。また、並んでいる乗客に尋ねたりする方法も有益です。降車した際に困ったら、勇気を出して周囲の人に援助を求めるよう指導するとともに、その場で焦らないように事前に尋ね方の練習をしておくことも大切です。

(2) 電車
 電車入線時のホーム上でのアナウンスや、車内のアナウンスをしっかりと聞き取るよう、日ごろから聞く力を備える習慣をつけることが望ましいです。特に全盲の人には有効な情報となる行き先・種別(急行・快速・各駅など)・車両の長さなどが含まれているので、指導しておくほうがいいでしょう。特に降車駅のホームが複数ある場合は、そのような情報をしっかり把握するよう練習を積むことが必要です。また、どちらのドアが開くかなどのアナウンスや停車前の電車の揺れの違いなどは、降車時の手がかりの一つにもなります。わかった気になってホーム上を歩くと、転落などの危険につながるので、近くの乗降客などに援助を求めて安全を確保することも必要です。不慣れな駅を利用する場合は、サポートを依頼するよう指導する必要があります。

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