筑波大学附属視覚特別支援学校のWEB

Q 公共交通機関を利用する応用的な歩行指導はいつ指導していますか?



 行動範囲を広げる交通機関の利用は、歩行指導における最終的な目標の一つと考えられます。

 学校周辺の住宅街歩行において、基礎的な歩行能力を十分に高め、その後交通機関の利用を目指して練習を重ねていきます。電車の利用を考えた場合、駅までの歩行はもちろん、点字ブロックの利用、ホーム構造の理解、ホームの移動、混雑地での歩行、券売機の使い方、料金や路線に関する知識など、実際の電車乗降に至るまで、実に多くの技術と知識を獲得する必要があります。また、交通機関の利用には事故や災害等のトラブルで不通にあった場合の対応も必須であり、困ったときに周囲の人とコミュニケーションがとれる社会性も必要です。

 交通機関の利用に必要なこれらの内容は、学校周辺での住宅街歩行等で徐々に培われ、それを応用できるように指導していくことが大切です。普段から交通機関利用時に、どこの改札やバス停から、どこ行きの電車やバスに乗っているかなどの情報を伝え、アナウンスなどの音声情報を聞いて、確認する習慣をつけておくことも、交通機関の単独利用を目指した指導を行う際には非常に役立ちます。交通機関を単独で利用するには、日頃から周辺の環境について情報を伝えて、できるだけ把握しておくことが必要です。同時に基礎的な歩行能力が十分に備わったら、最寄りの駅やバス停から乗降の練習を開始すると、スムーズに進むのではないかと考えられます。

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