このページでは筑波大学附属視覚特別支援学校長より、このWebをご覧になった方へご挨拶申し上げます。
10月の校長室から
10月の校長室からにお越しくださり、ありがとうございます。
学校関係者以外の方からも読んでいますよと声をかけていただけることが多くなってきました。本校のこと、盲学校一般のこと、視覚障害教育のこと、特別支援教育のことを、多くの方々に広く知ってもらうことも目的の一つなので大変嬉しく思います。
さて、時間が許す限り、幼児児童生徒の様子を見て回るようにしています。授業中であれば彼らが集中力を切らさないよう、廊下からそっと参観します。本校の幼児児童生徒の授業に臨む態度は良好、さすが筑波大附属です。彼らの学ぼうとする意欲や自立と社会参加に向けた志が高いことに加え、飽きさせない授業・分かる授業を日々展開している先生方の指導力のおかげでもあります。しかし、時には表情がすぐれなかったりうつむいていたりする生徒さんもいて、どうしたかなと気になります。必要に応じて副校長さんとも情報共有をし、必要があれば学部に連絡してもらいます。また、廊下から見ていると時折弱視の生徒さんが私に気付きくことがあります。ある時慌ててスマホから手を放しましたので、そのスマホ操作は調べ学習ではなかったのでしょうね。「ほら、ちゃんと授業を受けなさい」とメッセージを送りますが、気が付いたかな。ある児童は「校長先生が見ています」と元気よく周りに伝えてくれるものですから、授業の邪魔してしまったなと、こちらが隠れることも。幼稚部の子どもたちが元気に遊ぶ様子には、こちらまで元気になります。単に参観といっても色々な発見があり、校長の大切な仕事の一つです。
一方、参観では気にしていることがあります。前述のことと関連しますが、相手によって態度や行為を変えていないかということ。この先生はあんまり注意しないから、この先生は全盲で見えないから等の理由で、ついつい授業とは関係ないことをする。そんな卑怯な人間になってほしくない、そんな行為を恥ずかしいと思える人間になってほしいのです。もしも自分がされたらどういう気持ちになるか考えられれば、いじめの撲滅にもつながりますね。言い換えれば、自分にも他者にも「まっすぐな人」とでも言えましょうか。もちろん、だれでにも弱さがありますから、時には曲がったっていい、折れたっていい。心の根っこがまっすぐであれば。こじつけかもしれませんが、白杖だってまっすぐだから役にたっていますよね。
私が教員を目指すきっかけになった「3年B組 金八先生!」。その第6シリーズの主題歌は「まっすぐの唄」という歌でした。個人的には大ヒットした「贈る言葉」よりもその歌詞を気に入っています。著作権の関係で全歌詞をここで紹介できませんが、ぜひ検索してみてください。まっすぐな人になりたいなと思えるはずです。
愚かだっていい、まっすぐならば。
まっすぐだけが届く、まっすぐだけが終わらない。
令和6年10月1日
筑波大学附属視覚特別支援学校
校長 青木 隆一