筑波大学附属視覚特別支援学校のWEB

 このページでは筑波大学附属視覚特別支援学校長より、このWebをご覧になった方へご挨拶申し上げます。


9月の校長室から

 9月の校長室からをご覧いただき、ありがとうございます。
 「幼児児童生徒たちはこの夏休みをどう過ごしたかな」と思いながら、9月の校長室からの原稿作成のためパソコンに向かっています。全員が健やかに、後の学習や生活に活きてくるような充実した時間を過ごせていることを願います。そして新学期に新たな意欲をもって始業日を迎えてほしいと思います。さて、夏休みと言えば宿題。皆さんの子供の頃の夏休みの宿題事情はどうだったでしょうか。私の小学生の頃は「夏休みの友」というワークブックを筆頭に日記・作文、漢字書き取り、水彩画、読書感想文、自由工作など膨大な宿題が出されていました。40日間遊んでばかりだった自分には終わるはずもなく、8月31日の深夜まで、親に怒られ泣きながら宿題をやった苦い思い出があります。本校の子どもたちはどうかな。
協定書締結後のインド盲人協会グジャラート支部施設長のランディナワール氏との記念写真  話は変わりますが、この夏、学校用務でインド共和国に行ってきました。渡航の主目的はインド盲人協会グジャラート支部と本校との国際教育交流協定の締結。これは、インドの視覚障害者の職業自立促進のため、これまで本校鍼灸科の先生方が、現地で地道に根付かせてきた日本式医学的手技療法(JMMT)の養成課程を、正式に支援し相互交流を促進しようというもの。現地の授業も視察させていただきました。「ナマステ~」皆さん礼儀正しく、教科書や教材が不断にあるわけではありませんが、なにより学べることへの喜びと意欲が強いとうことが印象に残っています。この姿勢があれば、必ずやQOLを高め職業自立も果たせるでしょう。実は今回の渡航が全国盲学校にとって理療・保健理療科活性化の突破口になればと期待しているのです。我が国の視覚障害者への理療教育を取り巻く状況は非常に厳しいものがあります。特に在籍者数の大幅な減少は、その役割を終えたとすら言われ存続にすら赤信号を灯しかねません。しかし「触る」ことを常とする視覚障害者にとって適職であることは変わらない。一方、インドの視覚障害者数は一説では1000万⼈以上。その就業率は約8%と極めて低く、教育も受けず⼀切の社会参加をせずに過ごす視覚障害者も多いそうです。ならば! もう国内だけに注視していてはだめだ、これからは盲学校伝統の手技療法や鍼灸療法を海外へ発信し、現地でその魅力や知見を再発見し再輸入できないか。このような相乗効果を生み出みだすことで、盲学校における理療教育の振興につなげられればと思っています。
 ※画像は、協定書締結後のインド盲人協会グジャラート支部施設長のランディナワール氏との記念写真です。


令和6年9月1日
筑波大学附属視覚特別支援学校
校長 青木 隆一

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2024/9/2