このページでは筑波大学附属視覚特別支援学校長より、このWebをご覧になった方へご挨拶申し上げます。
1月の校長室から
新しい年を迎えました。オミクロン株による新型コロナウイルス感染症の爆発的な拡大と厳しい寒さの中での始業となりました。今年も本校の教育活動へのご理解とご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
本校では、毎年、「視覚障害教育研究協議会」を開催し、授業を参観いただくとともに、本校の教育活動や研究活動について報告し、参加者の皆様と協議や情報交換を行い、日々の教育活動に活かしてきました。感染拡大の中で、昨年度に引き続き、今年度もオンラインにて2月19日(土)に開催する予定です。今年度は、「パラリンピック 金メダルへの挑戦」と題して、木村敬一氏(東京ガス所属、本校中学部・高等部卒業)の記念講演を行います。木村氏は、半生を振り返った著書の中で、以下のように記しています。
僕の人生は、物心がついた頃にはもう、完全に光を失った闇の中だった。
僕に笑いかける母の顔を見たことがないし、季節が移ろう鮮やかな色の美しさも、知らない。ずっと追い求めている金メダルの色だって、いったいどんな色なのか、見当もつかない。
でも、ひとつ、知ってほしいことがある。
僕が生きてきた闇の中は、
僕が泳いできた闇の中は、
温かくて、居心地がよくて、とても幸せな場所だということ。
(木村敬一著「闇を泳ぐ」より)
このように、闇の中を「とても幸せな場所」と言い切れる木村氏は、2歳で全盲になり、小学校4年生で水泳を始め、2012年ロンドンパラリンピックで銀・銅2つのメダル、2016年リオ大会では銀・銅4つのメダルを獲り、そして、8月に開催された東京パラリンピックにおいて念願の金メダルを獲得しました。
パラ水泳メダリストとして、注目を浴び続けてきた木村氏には、幼少期をどのように過ごしたのか、金メダルを獲りたいといった目標はいつ頃何がきっかけとなって生まれたのか、ポジティブな思考はどこから生まれるのか、自身にとっての金メダルはどういったものなのか等をざっくばらんにお話しいただくことになっています。
昨年11月には、月刊 視覚障害(発行:視覚障害者支援総合センター)の鼎談で、寺西真人氏(本校前教諭、パラ水泳コーチ)、河合純一氏(日本パラリンピック委員会委員長)とともに来校くださいました(写真:左から河合氏、寺西氏、木村氏)。
また、12月には、東京2020パラリンピック出場選手による大会報告会に他の卒業生とともに来校、児童生徒を前に、本校の12メートルプールでの水泳の思い出やパラリンピックの舞台裏、パラアスリートとしての思い等を語ってくださいました。そして、「好きなことは頑張れるので、夢中になれるものをみつけて、自信をもって突き進んでほしい。」とエールを送ってくださいました。
今回の記念講演ではどんな話が飛び出すのか、楽しみです。また、研究協議会では、本校の教育活動の一端も報告する予定です。プログラムと参加申込(参加費は無料)については、以下をご覧ください。
https://www.nsfb.tsukuba.ac.jp/kenken/2021kenkyuu_2.html
令和4年1月19日
筑波大学附属視覚特別支援学校 校長 星 祐子