筑波大学附属視覚特別支援学校のWEB

 このページでは筑波大学附属視覚特別支援学校長より、このWebをご覧になった方へご挨拶申し上げます。


6月の校長室から

 緊急事態宣言が継続される中、感染防止対策の徹底を図りながら、幼児児童生徒たちの教育活動に工夫と創造力が求められています。その一端をご紹介します。

 中学部、高等部のクラブ、部活動は、曜日と時間を限定し、授業の延長として位置付けながらも生徒たちの自主性、主体性を大切にしながら実施しています。特に、運動系の部活動については、細心の注意を払いながらも各自が思い切って身体を動かすことができるようなプログラムとし、終了後は更衣室において密状態をつくらないように、寄宿舎生については寄宿舎の各居室で着替えを行うなどのルールを決めています。

 全国の視覚特別支援学校・盲学校には、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の養成のための課程を設置している学校が50校程ありますが、本校もそのうちの一校です。高等部専攻科鍼灸手技療法科の3年制課程で、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の国家試験合格を目指して学んでいます。3年生では、臨床実習の場である治療室で、実際に患者さんに対して、教員の指導の元、施術を行い、臨床の技術を磨くのですが、緊急事態宣言が出されている現在は、外部から患者さんを受け入れることができません。代わりに、校内の教職員が患者として生徒たちの施術を受ける機会を設けています。
 私も先週、本校治療室において、肩こりの改善のために生徒のあん摩マッサージ指圧の施術をうけました。教員の指導に熱心に耳を傾けていた生徒から、触診で背中がこっていること等が指摘され、自分でも気づけなかった自分の身体の状態に気づくことができ、また、「患者」の私とコミュニケーションをとりながら、日頃のようすを把握し、施術に活かそうとする姿勢に頼もしさを感じました。肩がすっきりするとともに、気持ちも晴れやかになったひとときでした。

 各学部では、移動教室などの行事が検討されているところです。いかに安全に移動し、移動先の安全な空間で、校内では体験できない豊かな活動を創り上げていくか、工夫と創造力が求められています。

 玄関の壁面に「ビー玉コロリンチン」の教材が展示されました。3・4年の図画工作の教科書に掲載されている「コロコロガーレ」の学習(三次元空間でビー玉がコロコロと転がり、坂道を下ってベルを鳴らすという制作)のプレ活動として、レールとゴールを壁面という二次元上に構成し、玉の転がる仕組みを体感することができるようになっています。レールとゴールの側面にはマグネットを付け、自由に操作し、ルートを組み替えることができるようになっています。小学部の児童は興味津々で、レールを組み替えては、玉が転がるかどうかを確かめ、転がらないときにはレールの位置を直し、試行錯誤しながら楽しんでいます。中学部生も懐かしみながら、レールやゴールの位置を自由に大胆に動かしています。
 こうした活動も空間認知の力やイメージ力、創造力を育てることにつながっていくと考えています。

ビー玉コロリンチン
壁面展示教材「ビー玉コロリンチン」

令和3年6月8日
 筑波大学附属視覚特別支援学校 校長  星 祐子

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2021/06/09