筑波大学附属視覚特別支援学校のWEB

教科音楽


中学部音楽

 授業時間数は、1年生は週2時間、2・3年生は週1時間です。全学年とも全盲学級、弱視学級合同の授業です。点字楽譜や五線譜の読み書きに慣れてない生徒も多いので1年生で楽譜の読み書きの練習から入り、アルトリコーダーの合奏や合唱もします。また、鑑賞の授業においても楽譜を使用します。2年生ではソプラノ・アルト・テナー・バスリコーダーを使っての合奏やキーボード、ピアノを入れた合奏などをします。3年生では、合唱や色々な曲を鑑賞します。また楽譜が書けるようになった段階で創作もします。

高等部音楽

 1年次の授業時間数は週2時間で美術か音楽の必修選択、2年次は週2時間で選択科目となっています。
 専門の音楽科の生徒の授業とは異なり、音楽を楽しむことを主要な目的として、生徒の状況に合わせて、合唱、合奏、鑑賞、創作などを、流動的に組み合わせて行っています。
 卒業後も、ジャンルを問わず、幅広い音楽を楽しんでいけるように、点字楽譜の読譜指導、簡単な楽典の指導も行っています。


教科音楽における盲学校の専門性

(1)音楽には物質的な実体はないが、形や形式はある。また、言葉を伴うものもあるにせよ、音楽そのものの表現は非言語的に行われ、具体的な事物を指し示すことはできない。よって、音楽活動はきわめて抽象的な思考を通じて行われると考えられる。視覚的なイメージを基にして抽象的な概念を形成することに制約がある視覚障害者にとって、視覚を介さない芸術である音楽を学習することは、抽象的な思考の発達に影響を与えるものである。
(2)加えて演奏する行為は、声楽・器楽の別を問わず身体的な動きを伴い、その表現力は演奏者の運動能力に大きく左右される。演奏に際しては、自らの身体の状態を内面から見つめると同時に、身体を取り巻く空間の中に座標軸の概念を形成していかなければならない。音楽活動はこうした概念の形成に寄与すると同時に運動能力に影響を与え、単に音楽という一分野にとどまらず、より広範に、生きていくうえでの基本的な能力の発達を促すものである。
 以上のように、音楽の専門教育にとどまらず、視覚障害教育の基層において音楽は大きな役割を果たすべきものであり、その指導は音楽の各分野および視覚障害教育のそれぞれの専門性を備えた人材を擁する本音楽科の役割である。
(3)また、世界のいずれの地域においても、風土の固有の美しさや、それを基にした芸術上の表現・意匠といった文化的な価値の多くは、視覚的な経験のうえに成立してきた。視覚障害者にとって、音楽はこうした経験の不足を補い、文化全般への理解を高めるうえで有効な手段である。その一方わが国では、邦楽の分野において、視覚障害者であるがゆえの鋭い感受性によってなされた表現が、文学や造形美術を含む文化全般に幅広く影響を与えてきた。より幅広い教養を持つ人材を育てる意味において、普通科教育における音楽教育の中でこうした伝統を継承することが本校の役割であると考える。






2020/06/04